温故知新で未来へ。生徒劇「犬田布騒動」の熱演も=11日、犬田布中体育館
【徳之島】伊仙町立犬田布中学校(十田孝志校長、生徒数40人)の創立記念式典・祝賀会が11日、同体育館であった。オープニングでは在校生たちが、薩摩藩の過酷な黒糖政策下に仲間の救出にほう起した先人らの〝義戦〟「犬田布騒動」劇も熱演。温故知新による学校の新たな飛躍、伝統づくりも決意した。
同校は1948(昭和23) 年4月、犬田布小併設で創立。校舎は3次にわたって新造改築、現校舎は6年前に完成。生徒たちは勉学・運動など多方面で活躍し、卒業生総数は計5370人。在校生数は66年度の475人をピークに現在は40人となった。
式は島内外の卒業生や郷友会、校区住民、来賓など約140人が参加してあった。生徒会など3年生を中心にした生徒劇「犬田布騒動」では、「犬田布騒動。それは不当な権力に負けない民衆の団結。正義の闘い。仲間を見捨てない友情の闘い。差別のない未来を創る平和の闘い。未来を拓く希望の原動力」と結んだ。
創立記念事業実行委の徳永武彦委員長は式辞で「よき伝統文化を継承し、先進文明には関心を寄せて自身へ生かし、『世界へ』を信念にさらに向上を」と期待。生徒代表の平山朋美さん(3年生)は、茅葺き小屋の土間に机といすを置いた開校当時(生徒数325人)など歴史もふり返りつつ「伝統を受け継ぎ、私たちの手で新たな犬田布中の歴史を築きたい」。
さらに生徒劇に関し「150年前、薩摩の厳しい取り立てに武器を持たず立ち向かった勇気ある犬田布の人々。その劇を通して団結の大切さ、仲間を見捨てない心、平和を願う心など多くのことを学んだ」とも述べた。
引き続き記念祝賀会で祝い合った。
メモ【犬田布(いんたぶ)騒動】1864(文久4)年、徳之島・犬田布村で起きた百姓一揆。薩摩藩の過酷な砂糖政策(砂糖総買入制)下で、農民の1人新山為盛が、砂糖の横流しの疑いで捕らえられ拷問を受けたことが発端とされる。為盛救出のため犬田布の農民150人余が立ちあがって仮屋を包囲し、役人を追い、森に7日間ろう城するなどした。「義戦」だったとの歴史評価もある。