世界遺産化への心構えなどを説いたNPO法人「富士山クラブ」の青木直子事務局長=17日、天城町
【徳之島】天城町企画課主催の「世界自然遺産研修会」が17日、同町役場であった。講師には、約20年にわたり富士山麓の不法投棄ごみ問題など自然環境保全に取り組むNPO法人「富士山クラブ」(富士河口湖町)の青木直子事務局長(54)を招へい。ずばり「世界遺産になった後が大変。評価、成果は世界基準で判断される」と、同島関係者にエールを送った。
「奄美大島・徳之島・沖縄北部及び西表島」世界自然遺産登録の可否の決定が目前に迫る中で、世界遺産の先輩である富士山地域で約20年、自然保護活動や環境学習・エコツアーなどに取り組む「富士山クラブ」の話を聴き、登録後のイメージを―と企画。徳之島自然保護協議会(共催)やエコツアーガイド連絡協議会などの関係者約40人が聴講した。
青木事務局長は「富士山クラブ」(個人会員約800人、法人・団体会員63団体)による清掃活動や外来種駆除、森づくりや環境学習などこの20年間の活動も紹介した。
1936(昭和11)年の国立公園指定に続いて、2013年6月に世界文化遺産登録された感想に「登録後が大変」。評価、成果が厳しく「世界基準で判断される」ほか制度の整備、調整、自然・環境・地域コミュニティーの保全、インバウンドの受け入れ対策、ユニバーサル、習慣・ルールの変更、競争―など分野で苦労談や持論を解説。
登録後急増したインバウンドでは「5人に1人が外国人。ごみは土に還ると当たり前にごみを捨て、悪い事とは思っていない。外来種対策も含め意識を伝えるのにも苦労した」。ユニバーサル面では、トイレの使用方法一つにしても英語など多言語表示は不可欠。呼び込みの競争は「(域内は)どこもかしこも同じことをやる。独自性をいかに出すかが大事に」。
登録後の自然環境保全には「(観光客は)一過性では訪れるが、この自然を100年後も守っていくのは地元。地域住民の関わり。住民みんなで保全していくとの意識が大事」とも強調した。