奄振開発基金の役割検証WG

奄振基金のワーキンググループ第1回会議
奄美の産業開発と雇用創出などへの貢献期待

 【東京】国土交通省は26日、国交省国土政策局会議室で第1回奄美群島振興開発基金の役割の検証に関するワーキンググループの会合を開いた。参加者は政策金融を担う機関としての役割などを検証し、同基金が今後も奄美の特色を生かした産業開発と雇用創出への貢献が期待されるとした。

 委員はANAホールディングス㈱の大川澄人常勤監査、大島郡町村会の伊集院幼会長、西みやび事務所の西みやび代表の3人。国交省、財務省政策金融課、鹿児島県からは川畑敬郎離島振興課長、奄美群島広域事務組合からは、河野裕二奄美振興課長らが出席した。

 議事では①ワーキンググループ趣旨②奄美群島振興開発基金の概要および奄美群島の経済状況、金融情勢③関係地方公共団体が期待する開発基金の役割④開発基金の業務状況等―についての議題で協議がなされた。

 国交省の徳田達彦課長補佐から2013年度の報告があり、「繰越欠損金の解消が重大な課題、解消を軌道に乗せ、加速することが必要。地域に根ざした政策金融を担う機関として、振興開発計画に基づく事業に対し、必要な資金の供給を行うべき」などの話があった。

 続いて川畑離島振興課長から、7月に行われた部門検討会の報告があり、観光や農業などの重点産業における融資枠の拡大の検討、LCCの就航、世界自然遺産登録などの奄美群島への追い風を生かすための出資業務等の創設検討などが上げられた。

 また、奄美群島広域事務組合の河野奄美振興課長から「今後の産業振興、雇用の創出を図る上で欠かせない存在、地元事業者にとって身近で利用しやすく、地域の振興に対する寄与を期待している。安定した運用による足腰の強い組織であることを期待」と言う5年前の意見を踏まえ、市町村との連携、勉強会の実施と資金需要等の情報交換会などを開催。期待される役割として、引き続き地元市町村の政策との連携を密にしながら、農業、観光業、情報通信産業を中心とした事業者への支援など、奄美群島の特色を生かした産業開発と雇用創出への貢献をあげた。具体例として、沖永良部島では、ソデイカの需要の拡大で資源の活用をめざし、NPOによるツアー商品を生み出したりしているとの報告があった。

 最後に開発基金から、業務のあり方、問題点などが挙げられた。欠損基金の解消に向けての組織運営のあり方、適切な経営アドバイスができる人材育成への取り組みなどが報告された。

 また高額な融資が求められるのに対応できるよう、「融資限度額の引き上げや、融資だけでなく出資も求められるようになるのでは」との意見も。大川座長から「融資先を広げるのもいいのではないか」との提案も出た。