世界自然遺産価値も再認識

世界自然遺産価値の自然を再認識。調和ある開発を再考した建設業関係者たち=10日、徳之島町

徳之島ブロック 開発と保護調和も再考
農業農村整備事業技術研修会 

 【徳之島】徳之島地区の2018年度農業農村整備事業技術研修会(県農村振興技術連盟徳之島ブロックなど主催)が10日、JAあまみ徳之島事業本部・農協会館であった。建設業界や行政関係者ら約200人が一堂に会して県事業の概要説明や優良工事の事例発表で研さん。自然保護官を招へいした特別講演も交え、世界自然遺産候補の地に調和した開発のあり方も考えた。

 徳之島建設業協会(67事業所)の酒匂源寶会長は開会あいさつで「業界の厳しい経営環境が続く中、本県基幹産業の一つ建設業が元気を回復して地域を活性化し、安全で安心な地域社会の構築に」と要請。県大島支庁徳之島事務所農村整備課の中村良法課長が農業農村整備事業の概要を説明。

 徳之島ダム畑地かんがいは対象面積3451㌶のうち17年度末の散水可能面積は計429㌶(進捗率12・4%)、18年度は100㌶を計画(計529㌶、15・3%)。国営かんがい排水事業を生かす県営畑かん設備設置事業の最終は24年度までで「一生懸命に推進。大地と水の恵みによる農業産出額50%アップを」と協力を求めた。

 優良工事事例では県営畑地帯総合整備事業(担い手支援型・一般)各工区の取り組みを、▽㈱芝建設(徳之島町)▽㈱徳山建設(天城町)▽㈱文元建設(伊仙町)の各社の代表が紹介。

 講演は、環境省徳之島自然保護官事務所の沢登良馬自然保護官が演題「世界自然遺産登録に向けて」で担当。IUCN(国際自然保護連合)の登録延期勧告に「遺産価値は否定されなかった。保護管理が評価された(関係自治体・地域団体・住民など約束事の取り組みが前提)。観光管理など課題が明確に示された。(沖縄県)北部訓練場返還地の編入、推薦区域の設定を助言してくれた」などと解説。

 最短だと19年2月1日に世界遺産推薦書再提出、同年夏ごろIUCNの現地調査、20年夏ごろのユネスコ世界遺産委員会審議・登録可否の決定―の見通しも説明。「登録がゴールではなく、維持管理を徹底し活用を検討。登録をきっかけに地域がさらに前進、発展していくことが大事」。2年間は貴重な〝準備期間〟とも捉え一体となった取り組みも求めた。

 質疑では「希少植物を誤って伐採しないよう、自然遺産候補地域の範囲の周知も必要」、「レッドリストをもっと分かりやすくして欲しい」など質問・要望も。同自然保護官は「(希少種の位置を)掲示すると、(盗採目的者などに)逆に知らせることにも。国立公園を含め杭(くい)は打ってあるが、地域住民の認識にもつながるので看板整備も進めたい」などと回答していた。