台風10号接近に伴う大雨で冠水した県道=21日正午前、徳之島町轟木(天城町境付近)
台風10号は21日午前8時ごろ、奄美地方に最接近した。この影響で天城町では同日午前11時13分までの1時間に73・5㍉の非常に激しい雨、同11時20分までの3時間に158・5㍉の降雨を確認し、観測史上最大値を更新した。同日午後5時現在、県や自治体などによると、人的・住家被害、道路の通行止めなどは確認されていない。
同日午後3時現在、台風は那覇市の北北西約200㌔にあり、奄美地方を強風域に巻き込みながら時速約30㌔で北西に進んでいる。中心気圧は985ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は25㍍。最大瞬間風速は35㍍。中心から北東側500㌔、南西側330㌔の範囲で風速15㍍以上の風が吹いている。
予報円の中心を通れば台風は今後、北西寄りに進み、奄美地方は21日夜遅くに強風域を抜ける見込み。22日午後3時までに中国華中地方に上陸し、23日までには熱帯低気圧に変わるとされている。
名瀬測候所によると、台風の影響で、天城町では最大風速(最大瞬間風速)19・3㍍(30・9㍍)の強い風を観測。このほか同南部を中心に風速15㍍以上の強い風が吹いた。天城町で非常に強い雨、強風を観測したことについて同所担当者は、「今回の台風は中心付近の風が強くなく、湿った空気が北東側に流れたから」とした。
22日以降も最大風速(最大瞬間風速)15㍍(20㍍)の風や、5㍍の高波を予想。また、多い所で1時間に30㍉の激しい雨(22日午後6時まで)のおそれがあるという。同所は土砂災害やうねりを伴った高波への警戒、強風低地の浸水、河川の増水などへの注意を呼び掛けている。
台風接近に伴い、同所は21日午前10時47分に徳之島町と天城町に大雨警報(土砂災害・浸水害)、洪水警報を発表。県と鹿児島地方気象台は同日同11時45分に天城町に土砂災害警戒情報を発表した(午後2時50分までに解除)。
同町は台風接近に備え、20日からラジオの充電など、事前準備を行うよう防災無線で町民に呼びかけた。同町担当者は「雨風のピークは土砂災害警戒情報が出された午前11時台。それ以降は収まってきたため、避難情報は出さなかった」と話した。
与論町は20日午後6時に町内全域(2595世帯、5252人)避難準備情報を発表し、高齢者などの避難開始を促した。一時的に避難をした人はいたものの、21日午前9時までに帰宅し、同情報も解除となった。
台風の影響で停電も発生した。九州電力㈱奄美配電事業所によると、最も停電戸数が多かった21日午前10時現在で徳之島町約6100戸、伊仙町1800戸の計約7900戸が停電。同日午後5時現在でも、▽徳之島町約600戸▽伊仙町約1800戸▽知名町約200戸―と、奄美市・龍郷町で各50戸以下の停電があり、復旧作業を行っている。
同事業所は「切れたり垂れ下がったりした電線、折れた電柱は危険なので、絶対に触らず最寄りの九州電力に連絡してほしい」と呼び掛けている。