関西からの入込減懸念

5日連続で欠航が決まったLCCバニラ・エアの大阪直行便(写真は奄美空港内)

5日連続でLCC欠航 バニラ「今後も未定」

 台風21号の影響で閉鎖されていた関西国際空港は7日、国内線の運航の一部を再開した。本格的な運用に向けて復旧作業が進められているが、同空港に乗り入れている航空会社の運航再開の通しはいまのところ不透明。奄美大島に直行便を就航させている格安航空会社(LCC)バニラ・エアは8日の同便欠航を決めた。5日連続の欠航に、奄美大島の観光団体は関西方面からの入込減を懸念している。

 21号の接近により、同空港内の滑走路2本のうち、第1ターミナルビル南側の第1滑走路(全長約3500㍍)が全面的に浸水。ターミナルビルにも大量の水が流れ込み、空港機能が戻る見通しはたたず、いまも飛行機の欠航が相次ぐ。

 同社の大阪―奄美大島間の直行便は浸水した第1ターミナルでの発着のため、現在も運航できない状況。また関空、成田空港と奄美空港で三角運航を行っている関係から、7日は「機材ぐり」を理由とする時間変更(午後0時15分→同5時15分)も発生した。

 同社広報は今後の動向について「関空の復旧次第。日々空港側と航空会社との調整の中で運航スケジュールが決まっている」と説明。欠航や成田便の時間変更もしばらく続く可能性を示唆し、「9日以降の運航も未定。利用者の皆さまには事前確認を願います」と緊急事態に理解を求めている。

 2017年3月に就航開始した大阪直行便は、これまで月間7割以上の搭乗率を維持しており、昨年9月は同85%。奄美の観光団体や地元行政も関西方面からの入込につながった貢献を評価する。

 奄美大島島内の観光関係者によると、9月は遅い夏季休暇で来島する観光客が多く、カップルや若者、学生などが目立つ。LCCの利用も高い時期という。

 あるホテル事業では台風接近前にキャンセルが数件あったほか、日程変更や延泊客も複数いたことを明かした。またレンタカー事業所では来島便の変更による予約変更連絡が4、5日まで続いたが、いずれも現在は落ち着いている模様。

 今回のLCC欠航が続き、入込の全体的な低下を懸念する声が広がり始めた。一般社団法人・あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長は「観光面での影響も小さくない。1日も早い復旧を願う」と話した。

 成田直行便で帰るという東京都の女性(38)は「(定刻から)5時間変更に驚いた。非常事態に理解はできるが帰宅時間が遅くなる…」とため息をついた。