徳之島の銘木「一本松」無残

松くい虫被害か?枯死状態に一変している徳之島の銘木「一本松」=25日、同町亀津

徳之島町亀津 松くい虫に力尽きる?
関係者落胆「大ショック」

 【徳之島】松くい虫の猛威でリュウキュウマツの枯損被害に歯止めが掛からない徳之島。徳之島町亀津「一本松ゴルフセンター」敷地ではついに、樹齢数百年、南西諸島屈指の老大樹とみられる銘木「一本松」が赤茶色に染まった。「一部に赤茶色の葉が表れたと思ったら約2カ月でこの状態に。大ショックです」。関係者を落胆させている。

 リュウキュウマツ(別名・リュウキュウアカマツ)の同地域銘木の1つ「一本松」。樹幹回り約5㍍、樹高約12㍍、盆栽状に自然展開した枝葉の最大幅は20㍍前後か。同ゴルフセンターの関係者らによると、1986年の開発・開業以前の同地域は水田や畑地帯だった。自生ものとみられる古来の地域名物「一本松」は、現状保護したまま施設に冠したほどだった。

 松くい虫被害は、体長1㍉に満たないマツノザイセンチュウが松樹の本体に侵入し、通水障害などを引き起こさせやがて枯死させる現象。マツノマダラカミキリ(飛距離約2㌔)が媒介虫となって線虫を松から松へと運ぶ。

 奄美では90年代に瀬戸内町加計呂麻で松枯れが確認されて以降、町外にも拡大。01年ごろには徳之島・天城町でも初確認。奄美全体の17年度中の松くい虫被害状況(県大島支庁林務水産課)は計約2万400立方㍍(前年度比52・2%減)。半減傾向にある一方で、徳之島、伊仙両町については拡大傾向が続き、徳之島だけで奄美全体の被害量の約9割を占めているという。

 集落域や主要道路沿線など被害樹については各自治体で伐倒・燻(くん)蒸処理しているが〝焼け石に水〟の状態。学校のシンボルツリーや公園などの修景保全樹は、予防薬の樹幹注入が効果的(約5年間持続)とされる。亀津の「一本松」については、カミキリムシ駆除など予防薬の空中散布は実施していたが、樹内部から予防する樹幹注入は未実施だった。

 関係者は「ゴルフ場内外の被害樹は伐採撤去していた。(一本松の枝葉の)ごく一部に鮮やかな赤茶色が表れたと思ったら、わずか約2カ月でこの状態に。ゴルフに来て『すごい松だ』と見入ってしまうお客さんも多かった。非常にショックを受けています」と肩を落とした。