二次被害を少しでも防ごうと補修を急ぐ姿が多く見られた=奄美市名瀬=
大きな爪痕を残した台風24号に続いて、大型で強い台風25号が奄美地方に近づいているのを受け、災害や二次被害を少しでも防ごうと5日、家屋の修理などを急ぐ姿が各地で見受けられた。住民からは「またか」「もういい加減にしてほしい」など不安の声が上がっている。
この日の午後、奄美市名瀬の小湊集落周辺では、九州電力が29日から続く停電の復旧を急ぎ、市は港に仮置きした膨大な量の災害ごみの撤去を進めていた。山積みとなったトタン板や倒木が風で飛び、二次被害の恐れもあることから「急ぎたい」と話し、重機やトラックを使って持ち出しを急いだ。
小湊集落(東郷武町内会長、260世帯・460人)では、台風24号の影響で20棟以上の住家の屋根が飛ぶなど大小さまざまな被害があり、集落内では軒先に出て台風に備える姿があちらこちらで見られた。東郷町内会長は「けが人がいなかったことは幸いだが、ここ数十年来、見たことのない規模。これ以上被害が広がらないよう祈りたい」と話し、集落の巡回を急いだ。
同集落内の家屋の被害が心配で里帰りしたという大阪在住・70代女性の生家では、息子夫婦も駆けつけ二次被害を防ぐための補修や片付けを進めていた。
女性は、住家の変わり果てた様子を見て「言葉がない」と話し、屋根が剥がれ、住居内にはガラスが氾濫し水浸しとなった我が家について「もう住むことはできないが、両親との思い出が詰まった家。撤去すべきかどうか迷っている」と言葉を詰まらせながらも、作業を進めた。
近所に住む50代夫婦の家では、家屋内がまだ濡れ、家具などが散乱したままで、「台風(25号)が過ぎるまでホテルを予約した」と避難のための荷物をまとめていた。
畑で農作物対策を進める男性は「24号の被害が大きかった」と嘆き、「また大きくなるかもしれない」と懸念。29日から停電が続く住家も多い同集落では、台風25号の接近で「停電が長引くのではないか」と不安を募らせている。