大正大学生が実習報告

大正大学地域創生学部の学生8人が40日間に渡った実習の成果を発表した

持続可能な発展へ提言も
「自然体験学習の導入を」

 先月からフィールドワーク実習を行っていた、大正大学(東京都豊島区)地域創生学部の学生らが29日、実習成果を発表した。「奄美の自然環境と世界遺産」をテーマに聞き取り調査、奄美大島や沖永良部島の住民らとの交流などを参考に、学生目線から考える奄美の各課題などを意見した。奄美の自然の価値や世界自然遺産登録の意義を理解するために、中高生など若い世代への体験学習等の積極的な実施などが提言された。

 同学部の実習生8人は、9月19日から約40日間に渡り、地元住民らと交流しながらの現地調査、有識者などの講話を受講。各フィールドワークを踏まえ、地域の持続可能な発展につなげるための、活性化策や地方創生モデルなどを考えた。

 奄美の社会面・経済面などの現状についての調査を報告。▽人口減少・高齢化▽若者が帰ってこられる雇用環境がない▽第1・2次産業の衰退―などの課題を挙げた。

 地域活性化策について、世界自然遺産登録後に期待できる効果として、「観光業をはじめ、製造業や農水産業も盛んになる」とし「観光を軸に内発的発展を期待。入ってきたお金が地元に何らかの形で還元される仕組みを作り、住民らの理解を得る」などと提言した。

 一方、観光客が増えることで「新たな外来種が持ち込まれる可能性や環境破壊の原因が増える可能性もある」など自然保護への課題も挙げた。

 奄美大島島内の中高生に行った意識アンケート(1213人回答)では、金作原などの登録候補地について「行ったことがない」(79・8%)の結果などを踏まえ、「自ら体験して自然の豊かさや動植物の大切さを学習できる体験型学習の導入を」などの意見があった。

 実習のまとめで成果物として、各学生がサイト(QRコードでも閲覧可)、動画、ポスターを制作。ポスターでは、オットンガエルの写真とともに、「わかる人にはわかります。…」と動植物の多様性をPRするものや、野良猫の写真とともに「ねこは悪くない 悪いのは全部人間だ」など希少動物保護を訴える作品もあった。

 学生代表の同学部1年の長塚灯さんは「奄美の未来を本気で考える大人たちと関わらせてもらい、たくさんのことを学んだ。奄美に関わることができ良かった。何かの形で恩返しできれば」などと感謝を伝えた。