奄美大島の学校校舎内で捕獲されたコウモリ類(提供写真)


学会誌に不明種コウモリを発表した木元さん(右)と浅利さん

未確認種の可能性も
木元さんら 奄美大島の校舎内で調査

 奄美海洋生物研究会の木元侑菜さんは8日、奄美大島の学校校舎内で捕獲調査したコウモリ類を奄美大島では記録がない種と判断し、共同研究者である帯広畜産大学の浅利裕伸特任講師との論文を学会誌に掲載したことを発表した。木元さんらは研究を続け標本作成や骨格形状を調査して種の同定を目指すとした。

 木元さんは東京農業大学大学院を卒業後、奄美にいるコウモリ類を知る目的で、環境省奄美野生生物保護センターにアクティブレンジャーとして勤務しながらコウモリ類などの調査を実施。北海道で小型哺乳類の研究に取り組んでいる浅利さんに協力を依頼して、奄美のコウモリ類の生態に関する調査を開始したという。

 木元さんらは生息情報の聞き取り調査で、教職員から「奄美市内の学校校舎にコウモリ類が生息しているようだ」との情報をキャッチして、昨年10月に捕獲調査を実施。捕獲したオス2個体のコウモリ類は外部形態を測定したが、北海道に見られるクロオオアブラコウモリに類似しているものの、種の同定には至らなかったという。

 木元さんらは捕獲状況と個体の諸特長などを論文にまとめ、今年6月に発行された日本哺乳類学会の『哺乳類科学58巻』に掲載。不明種のコウモリ類は捕獲個体の前腕長の長さから、クロオオアブラコウモリとは異なる国内未確認種の可能性も考えられると指摘する。

 木元さんらは今後もこの不明種のコウモリ類の調査を続行し、標本作成して種同定につなげたいとしている。浅利さんは、奄美大島のコウモリの研究を開始して3年目。「離島ならではの希少種、未確認な種など何がいるか分からない。調査して保護につなげる必要があるのでないか」と語った。

 また一般の人からの目撃情報を求めていて、周りでコウモリ類を見かけたら珍しい種類の場合もあるとして、浅利さんのメールアドレス(asari@obihiro.ac.JP)に目撃例などの連絡を呼び掛けている。