違法採集対策を強化

違法採集対策を強化

違法採集対策で休日などの希少野生動植物保護パトロールが開始された

環境省
森林組合委託 休日などのパトロール開始

環境省奄美自然保護官事務所は22日から、湯湾岳周辺の世界自然遺産候補地で、これまで回れていなかった休日などの希少動植物保護パトロール業務を開始した。相次ぐ違法採集(盗掘・盗採)の防止と、希少種や外来種のモニタリングなどを実施する。同事務所は、世界自然遺産登録に向け現場の対策強化の一環と位置付けている。

奄美大島では現在、島内5市町村がつくる奄美大島自然保護協議会が希少野生動植物保護パトロールを4人体制で実施。協議会パトロール員は基本的に平日に活動していて、これまでに巡回していない休日などに希少植物などの違法採集が発生することが何度かあったという。

同事務所は違法採集対策の強化で、休日などの希少野生動植物保護パトロールを企画。国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業で12月から来年3月にかけ、あまみ森林組合に休日などを中心としたパトロール業務を委託した。

あまみ森林組合側は車両1台にパトロール員2人体制で、湯湾岳周辺や国立公園の特別保護地区、第1種特別地域などのコアエリアを中心に巡回。パトロール員は不審車両や人物などを警戒し、GPS装置で位置や時間帯などを記録する。また一般車両や通行人に遭遇した場合は、希少動植物捕獲や採集禁止を呼び掛ける啓発チラシを手渡すという。

万一アマミノクロウサギなどの死体を発見した場合は、発見地の情報を記録して写真撮影後に死体を回収し同事務所に連絡する。

この日早朝、奄美市住用町の林道スタルマタ線に同事務所職員2人と、あまみ森林組合から3人合わせて5人が集合。出発前にパトロール業務の内容やGPS装置の使用法など確認して、希少野生動植物保護のパトロールが始められた。

あまみ森林組合業務課の川畑敏彦課長(47)は、「森林組合が、林道などをパトロールするのは初めてになる。奄美大島の世界自然遺産登録に向けて、希少野生動植物保護のパトロールに協力していきたい」と話した。

同事務所の千葉康人上席自然保護官は、「グリーンワーカー事業で希少野生動植物保護のパトロールは初。違法採集は絶対に許さず、地域の宝を守るべく現場の対策を強化するもの」と説明した。