観測用窓の上部壁面には大島海峡に浮かぶ周囲の島々の絵図が描かれている(提供写真)
観測所Aの入口を計測する調査作業員(提供写真)
瀬戸内町教育委員会は2017年度から、国庫補助事業で町内の重要な近代遺跡(戦争遺跡)の調査を実施している。18年度は西古見砲台跡などの調査に着手。先月上旬には、発掘調査前の調査として測量等を行っていた。同町教委は今月15日から砲台跡や弾薬庫等の発掘調査に入り、20日から開催予定の町近代遺跡調査検討委員会で、調査方針などを検討する。
町教委は14~16年度にかけて、町内の埋蔵文化財の分布調査を実施。3年間の調査の結果、旧陸軍・海軍の206カ所の軍事施設跡などが近代遺跡と確認された。
町教委は確認された近代遺跡を17年度から4年かけて、国庫補助など活用し重要な遺跡について測量、発掘調査する予定で18年度は近代遺跡調査検討委員会(赤司善彦委員長・委員5人)の協議を経て、西古見砲台跡と関連施設跡の測量・発掘調査の実施を決定。先月3~11日に西古見砲台跡に関連する2カ所の観測所跡の計測や、GPS(衛星測位システム)データ測定などの作業が行われた。
2カ所の観測所跡のうち東に位置するもの(観測所A)は、17年3月に住民への聞き取り調査などで存在を確認。町が公園として整備している観測所跡(観測所B)と合わせて、県の遺跡分布地図に登録されている。
町教委によると西古見砲台跡は、大島海峡西口にあり戦前の奄美大島要塞の砲台の一つで28糎=センチ=榴弾砲を配置。榴弾砲は弧を描く弾道のため谷合の地に砲座が構築され、艦砲射撃を防ぐことが可能だが敵艦の確認を目視できないために高台に観測所が設置されていたという。
町教委社会教育課の鼎丈太郎学芸員は、「観測所AのGPSデータ測定や、簡易測量などが実施できた。15日からの発掘調査で、より詳細な実測作業を行いたい」と先月の調査を振り返った。