昨年4月、高齢者がはねられ死亡した現場を検証する奄美署員と住民=奄美市名瀬大熊=(参考写真)
奄美署は、昨年2018年に管内で発生した交通事故発生の概況をまとめた。総件数は、人身・物件事故合わせて前年比60件増の1119件。なかでも、65歳以上の高齢者が人身事故の当事者となる割合は約6割となった。同署・竹下直志交通課長は「高齢者の事故防止は大きな課題。今後は取り締りだけでなく、細やかな指導・啓発にも力を入れたい」と話した。
同署によると、交通事故の発生件数は昨年1100件を超えるなど、年々増加傾向にあるという。内訳は、人身事故が前年比で2件少ない74件、物件事故が同62件多い1045件となった。
種別では、死亡事故が3件(死者3人)、重傷事故が18件(重傷者21人)、軽傷事故が53件(軽傷者67人)。前年比で、死者2人、負傷者5人が増加した。
人身事故の主な原因としては、安全不確認が22件、前方不注意が20件、動静不注意が13件と、7割超が注意不足など漫然とした運転が原因。同署は、▽止まるべきところは止まる▽確認するべきところは確認する▽落とすべきスピードは落とす―などルールの順守を呼び掛けている。
また、高齢者が人身事故に関わる割合も引き続き目立つ。過失の重い「第一当事者」に占める割合は約35%、第一・第二を合わせると約60%に。事故の傾向としては、昼間より夜間が多いという。
竹下交通課長は「近年奄美の車両数も増加。ハンドルを握る時はルールの順守と自分の安全を第一に」とし、新たな対策として「徹底した取り締りだけでなく、子どもや高齢者など年代に合わせた啓発も重要。地域に出向く機会を増やし、きめ細かな安全指導に取り組みたい」と話した。
この他、近年の増加が指摘されるレンタカー事故件数は、人身・物件合わせて前年比59件増の178件(人身3件、物件175件)。全体の約16%を占め、13年の45件から5年で約4倍と、急激な増加を見せている。
管内では入込客の増加に伴い事故も増加。レンタカー運転者は、地域の交通事情の違いに戸惑うケースが多いという。同署は「お互いが不慣れな面もある。落ち着いて思いやり運転を」と安全運転を呼び掛けている。