マングース防除事業検討会

マングース防除事業検討会

関係者らが出席し、マングース防除について協議した

捕獲数1頭、過去最低見込み
「化学的防除」報告根絶後の対応も議題に

 2018年度「奄美大島におけるフイリマングース防除事業検討会」(座長・石井信夫東京女子大現代教養学部教授)が31日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。18年度のマングース捕獲数は12月までに1頭で、過去最低となる見込み。このほか17年度に実施した化学的防除についての報告、根絶確認の手法、根絶後の対応などが議題に上がった。

 18年度の防除事業は第2期奄美大島におけるマングース防除計画(22年度まで)の6年目。思勝・三太郎と湯湾岳を重点区域、そのほかのエリアをモニタリング区域として作業を実施。昨年12月末日までに、わなにより捕獲されたマングースは和瀬エリアで1頭。過去最低だった前年度の10頭を大きく下回る見込みとされた。また、昨年11月に名音エリア(嶺山地区)で糞探索犬により糞1件が発見された。

 環境省は殺そ剤入りのえさを使用し、防除を行う「化学的防除」について報告した。17年4~5月と18年3月の二度に渡り、大和村嶺山地区で実施。二度目の実施では、殺そ剤入りのえさを捕食するマングースの写真が4枚撮影されたが、実施後には撮影されなくなった。石井座長は「効果があったと考えられる。防除の新たな方法が手に入れられた」と話した。

 また、防除により個体数が減少していることを受け、根絶確認の手法について説明。①十分なモニタリングを行っても生息が確認されない②根絶確率をエリアごとに算出し、ゼロになる―の2点を、根絶達成を示す方針として挙げた。笠利エリアで探索犬によるモニタリング回数が少ないことが課題とされ、今後試行的に実施し、進め方を検討するという。

 環境省は、根絶後も残存・再繁殖・再侵入を早急に察知するためのモニタリング、在来種の回復過程のモニタリングの必要性を提示。再侵入に関して委員からは、「カウアイ島(ハワイ)などではコンテナに紛れていた事例がある。住民からの目撃情報を重視し、わなをかけるべき」などの意見も出された。

 会を終えた後、石井座長は「根絶が実現できそうだとはっきり言えるようになるのは、世界自然遺産実現に向けた大きな成果」と語った。