インバウンドへの「おもてなし」公開セミナーに多くの参加があった
増加する奄美へのインバウンド(訪日外国人観光客)に対応しようと、奄美産業活性化協議会は21日、奄美市名瀬長浜町の奄美文化センターで「外国人おもてなし大作戦イン奄美」公開セミナーを開いた。奄美在住外国人による体験談や先進地事例を紹介。同協議会は今夏にもポータルサイトを開設し、動画公開や「奄美おもてなし検定」実施を計画。住民の実践的な英語コミュニケーション力の向上につなげたい考えだ。
同協議会は、奄美独自のおもてなし(接遇・英会話)人材育成プログラムを2017年度スタート。インターネット上で学習できるよう、動画や研修テキストの作成に着手しており、最終年度(19年度)完成を予定している。
セミナーは観光や宿泊業、起業希望者が対象。観光機運の高まりから島民の関心は高く、約50席の会場は満席となった。
社会システム㈱=東京都=観光まちづくりグループ課長の高光美智代さんが国内事例と課題を講話。岐阜県の白川郷と飛騨高山を挙げ、まち歩きマップやバスの行き先案内板の色分けなどの工夫での「おもてなし」の取り組みを紹介した。
その一方、京都では観光客の過剰な流入に対応し切れておらず、住民や経済に不利益が生じているオーバーツーリズム(観光公害)にも触れ、適正な範囲での受け入れづくりを指摘した。
事前準備と予想されるリスク対策を訴える高光さんは、「楽しませたいという気持ちがあれば片言英語でも通じる。必要な準備と恐れずに接する姿勢を持ってほしい」と結んだ。
同市国際交流員(CIR)のホワイト・ローズマリーさん=米国出身=は、地元店のメニューやサイト表記が日本語のみと指摘。外国人目線から「自然だけでなく、独自の食文化や伝統の魅力をもっと発信するといい」と述べた。
市内でユースホステルを経営する女性(77)は「訪れる外国人は日本語を勉強している。普段どおりの対応に少しばかり英語を付け加えたら十分。案内テキストがあれば活用したい」と話した。
同協議会によると作成中の動画やテキストは、7月開設するポータルサイト「外国人おもてなし大作戦」で公開。おもてなし検定の合格者にはステッカーを配布。また店舗案内を英訳するサービス(先着50人)も実施する予定。