改正奄振法案、衆院可決

改正奄振法案、衆院可決

衆院本会議で改正奄振法が可決されて、頭を下げる石井啓一国土交通相(インターネット審議中継より)

参議院に送付、年度内に成立へ

奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案が14日、衆議院本会議で可決された。参議院に送付され、法案は年度内に、成立する見通し。同法案では、交流促進や産業振興などに向け奄美群島振興交付金が充実強化される。

本会議では、衆議院国土交通委員会の谷公一委員長が、同委員会における審査の経過・結果を報告。「本案は、奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情に鑑み、その基礎条件の改善ならびに地理的及び自然的特性に即した振興開発を図るため、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の有効期限をそれぞれ5年間延長するなどの措置を講じようとするもの。本案はさる3月7日、本委員会に付託され、翌8日、石井国土交通大臣の提案理由の説明を聴取し、13日に質疑を行い、質疑終了後採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決した」。

委員長報告後に採決。報告への異議はなく、委員長報告の通り本会議でも可決した。

県選出衆院議員の金子万寿夫氏(自民党)は、「衆議院を通過し参議院に送付され、年度内に成立することになった。来月からは新しい制度の下、予算執行される。(法延長の)今後の5年間は、世界自然遺産登録や成長戦略ビジョンの実現を成し遂げなければならない」「実現していくのは郡民。決意を持って頑張らなければならない。予算執行する上でいろいろ地元の意見を聞いて、私が受け止めて奄振予算にメニューを追加していきたい」と語った。

改正奄振法案では、奄美群島の自立的発展、住民の生活の安定および福祉向上、定住促進を図るため、奄美群島の特性に応じた産業の振興や生活の利便性向上に資する事業を支援する奄美群島振興交付金を充実強化。交付金では▽地域の創意工夫を生かした新しい取り組みの特定重点配分対象事業の支援拡充(交付率引き上げ)▽物資の輸送コスト支援対象に、奄美群島で製造された加工品や原材料等を追加する支援▽群島外の学校等に在学する群島の住民に扶養されている人(準住民)も、対象に追加し運賃軽減する航路航空路運賃軽減事業の拡充―などを打ち出している。

創意工夫十分発揮できる内容に
改正奄振・小笠原法案、6項目の付帯決議

14日の衆議院本会議で可決した奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案では、法の施行に当たり政府に留意を求めている6項目の付帯決議を盛り込んでいる。

内容は次の通り。

一、振興開発基本方針の策定に当たっては、地元の創意工夫が十分に発揮できる内容となるよう留意を。

二、定住の促進に資するため、医療・介護等生活環境の改善について具体的かつ充実した施策の実施に努めるとともに、両地域(奄美群島・小笠原諸島)における交流人口の増大や物価格差の是正等のため、人の往来および物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実について検討を加え、所要の措置の実現を。

三、奄美群島振興交付金制度は、主にソフト面での支援施策として、地域が主体的に施策を実施するためのものである趣旨に鑑み、積極的な活用が図られるようきめ細かな配慮をすること。また、奄美群島の特性に即した産業を図るため、大島紬・黒糖焼酎等の地域の特性を生かした地場産業のより一層の振興が図られるよう配慮を。

四、奄美群島・小笠原諸島は、自然環境面において極めて貴重な地域であることから、その振興開発に当たっては、自然環境の保護・保全に積極的に取り組むとともに、エコツーリズム等の自然環境の保護・保全と両立する持続的な観光振興が図られるよう配慮を。

五、離島航空路線が住民の生活路線であること、他地域との交流の活性化に欠かせないインフラであること等に鑑み、地元の意見や自然環境との調和に十分配慮しつつ、本土・奄美群島間の航空の利便性向上や小笠原諸島における航空路の開設を含め、必要となる取り組みに努めること。

六、奄美群島・小笠原諸島は、台風の常襲地帯に位置するとともに、南海トラフ地震に伴う津波被害も想定されるなど、災害を被りやすい地理的・自然的条件にあることから、必要な防災・減災対策の推進を。