広域事務組合の脱退案可決

広域事務組合の脱退案可決

沖永良部与論地区広域事務組合からの脱退案が採決され、賛成多数で可決された=知名町=

知名町臨時議会
各町負担金巡り分裂 今井町長「3町合意で撤回」

 【沖永良部】知名町議会は18日、臨時議会を開き、沖永良部与論地区広域事務組合からの脱退案を賛成多数で可決した。同組合を構成する知名、和泊、与論の3町は、組合消防費における各町負担金の改正を巡り4年前から協議を続けてきたが、合意に至らなかった。脱退までには2年間の猶予期間があり、組合管理者の今井力夫町長は「協議する期間は残っている。3町それぞれの思いが合意に達したら、脱退を撤回する」と述べた。

 消防費の各町負担金は、1983年の消防組合の設立当初から、自治体が行政サービスに必要な経費として推計する「基準財政需要額」における消防費の割合を基準に算出していたが、2015年12月に負担金の改正案(負担金総額における各町均等割20%、各町職員数割30%、基準財政需要額50%)が3町議会で提出され、知名町議会と和泊町議会は可決、負担割合の増える与論町議会は否決した。その後も、組合会議などで話し合いを重ね、与論町から「均等割20%、基準財政需要額80%」などの案が提出されたが、合意に至らなかった。

 臨時議会では、同組合の池田哲勇消防長と同組合総務課の通村隆彦課長も出席し、議案審議が行われた。

 3町の関係悪化を懸念する意見に対し、今井町長は「これまで随時協議してきたが、負担金についてのみ合意に至っていない。それ以外の両島における交流等についてはこれまで以上に活性化できるよう取り組んでいく。脱退までの2年間のうちに、3町が協議する場を設ける努力をしていく」と答えた。

 脱退した場合、広域事務組合の担当業務について池田消防長は「当然、住民への消防行政サービスや介護認定事務サービスが継続できるよう事務処理をしていく」とし、町単独または和泊との2町での業務継続について「構成団体での協議になるが、職員としては、分裂は避けたい。構成団体にとって問題となっているのは負担金だけ。これまでも協議を続けてきたが、今後も協議を続けないといけない」と答えた。

 介護認定業務への支障について通村課長は「与論町も継続の意思があれば、3町でやっていくべきと考えている」とした。

 討論では、今井吉男議員が「公平に負担すべきとして議論してきたが、組合設立当初のままで良いと考えている」と脱退に対し反対の意見を述べた上で、各町別の職員数(和泊17人、知名11人、与論13人)を挙げ「職員定数と役職を含めると、人件費の割合から和泊町の負担額を上げてもいいのでは。人件費の割合が、予算総額歳出の約90%を占める。その問題も含めて3町での継続に向け協議してほしい」と要請した。

 議長を除く11議員による採決の結果、賛成8人で可決された。脱退には、議会の議決を経て、脱退日の2年前までに他の構成団体に書面で予告する必要があり、同町の脱退は21年3月18日以降となる。