島嶼研奄美分室、港町に移転

移転して広くなり設備なども充実した島嶼研奄美分室

新環境「多くの人利用して」
旧施設より広さ2倍、「奄美群島文庫」も 研究者使える機器増設

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター(河合渓センター長)の奄美分室がこのほど、奄美市名瀬港町の本場奄美大島紬会館に移転した。施設面積が約2倍に拡充し、機器設備なども増設された。新しい環境に移り、分室に常駐する職員らは「よりアクセスしやすくなり、入りやすくなったと思う。多くの人に利用してもらいたい」と呼び掛けている。

 同分室は、同大が文化・社会・生物の多様な地域である奄美群島で多様性維持機構の解明と保全を目的に2015年4月に設置。河合センター長(教授)や高宮広土教授、山本宗立准教授、大塚靖准教授の専任教員4人は入れ替わりながら奄美に滞在し、藤井琢磨特任助教、鈴木真理子プロジェクト研究員、重井香織事務補佐員のスタッフが常駐している。

 先月まで分室があった同市名瀬柳町の旧水道課庁舎が、市民交流センター(仮称)の建設予定地だったことから市が移転先を用意した。

 移転前の旧水道課庁舎2階にあった時は、分室の面積は約70平方㍍。移転した紬会館6階の分室のスペースは研究者の常駐する研究室が約90平方㍍、セミナーや研究会など行う展示スペース約45平方㍍と合わせて約135平方㍍と倍近くの広さになった。

 また分室を訪れた研究者が使えるパソコンなどの機器も増設。その他に乾燥機や冷凍機などが新調されて、研究者の標本作成がよりスムーズに。展示室には奄美に関する書籍を集めた奄美群島文庫もあり、貸し出しはできないが学生や一般も閲覧可能だという。実体顕微鏡も常備し、スタッフの許可で使用できる。

 スタッフらは広くなったことを喜び、「より活動しやすくなった。名瀬公民館の下の階という条件も、人が集まる場所の近くで入りやすくなるかもしれない」と期待を寄せている。高宮教授は「移転したことを、まず知ってもらいたかった。よりアクセスしやすくなった。研究会やセミナーなどで分室を利用してもらえるとうれしい」と語った。

 22日には午後4時半から、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に関する講演会(分室はインターネット中継で視聴)が予定されている。

 問い合わせ先は、鹿大島嶼研奄美分室℡0997―69―4852。