新しい時代の幕開けに思い

新しい時代の幕開けに思い

新元号の有識者会議メンバーを務めた県奄美パーク・宮崎緑園長(4月28日撮影)

奄美パーク・宮崎園長「多様性の調和、引き継いで」
改元を機に考える奄美の未来像

 元号としては初めて漢籍ではなく、日本の古典からの引用で決定し、政府が発表した新元号「令和」。いよいよあす1日午前0時に改元される。千葉商科大学教授で、新元号に関する有識者懇談会のメンバーを務めた宮崎緑・県奄美パーク園長が奄美新聞のインタビューに応じ、長年、奄美と関わりのある立場から新元号に対する思い、奄美の将来像について語った。

 「『令和(れいわ)』という語感をすがすがしく思い、すばらしい元号と感じている。典拠がこれまで多かった漢籍ではなく、初めて国書ということからも新たな時代の訪れにつながる」

 安部晋三首相は4月1日の新元号発表後、談話を通して現存最古の歌集「万葉集」からの典拠、歴史と文化の継承を込めたことなどを説明。文字は巻五梅花の歌三十二首の序文「初春の(令)月にして 気淑く風(和)ぎ―」から引用された。

 「令月(美しい月)」と「梅(の花)」という組み合わせに宮崎園長は「当時の自然に対する研ぎ澄まされた感性にあふれた文言。日本の美意識のルーツをくみ取ったもの」と感想を述べた。

 有識者会議のメンバーに加わったことに「国民の一人として与えられた役割を務めさせていただいた」とした上で、「(新元号は)人々が美しい心を寄せ合い、新しい文化を築いていく気持ちが込められた。昔から語り継がれた『和をもって 尊しとなす』の観念を進めていく願いの表れ」と新たな時代への幕開けに言及した。

 また会議終了後、着用していた大島紬(白大島)がメディアの関心を集めたことに、「国内外から反響があったことに驚いているが、奄美が誇る伝統工芸品を伝えるきっかけになったことは光栄なこと。大切な場に紬を着用するというスタイルとして理解していただけたのでは」と話し、予想外の騒動に困惑しながらも大島紬のPR効果にうれしさをにじませた。

                   □    □

 インタビュー時、「奄美パーク」を代表する立場から奄美の将来像にも触れた宮崎園長。奄美の島々で伝統文化や生活様式、言語などは異なるが、全体が「奄美」というハーモニーの形成が世界的にも珍しいと指摘。令和初の世界自然遺産登録(来夏見通し)を前に、自然環境と地域文化を積極的に発信していく意義をあらためて強調している。

 「これから向かう先には、グローバル化が進む一方、本質部分を大切にしながら、残し、守っていく部分をしっかりと認識することが問われる。奄美の良さは多様性が調和した『結い』の精神にある。改元を機に、島民が奄美の持つ魅力を引き継いでいく機運を高めてもらえたら」。