海外視察の報告会で大島紬で開発した商品を説明する織元ら
大島紬の海外での販路開拓を目指す「JAPANブランド育成支援事業」で欧米を視察した奄美市と龍郷町の織元4業者による事業報告会が8日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。報告では、商品取引につながる商談がまとまったケースはなかったものの、織元らは、「素材として多くの関係者に関心を持ってもらえた。足掛かりをつくることはできた」と、今後のビジネス展開に手応えを感じていた。
同事業は、中小企業庁による、3年間の補助事業で、奄美大島商工会議所が事業主体となり、奄美市や龍郷町、本場奄美大島紬協同組合などが支援している。事業最終年度だった2018年度は、昨年11月と今年1月に、都成織物(奄美市)の黒田康則さん(40)、前田紬工芸(同)の前田圭祐さん(32)、はじめ商事(同)の元允謙さん(37)、夢おりの郷(龍郷町)の南晋吾さん(38)の4人が、フランス・パリ、イタリア・ミラノ、米国ニューヨークを視察した。
一行は、ファッションデザイナーやインテリア業者、生地を取り扱う卸業者などの関係者を訪問、直接、反物や洋服、帽子などのほかランプシェードなどインテリア小物など大島紬の関連商品をPRした。
報告会では、「大島紬の価値は高く評価された」「伝統的な技法などに興味を持ってもらえた」「インテリア用品としての評価は高かった」などといった報告の一方、「価格面で折り合わない点もあり、今後は富裕層などをターゲットにした商品開発の必要性を感じた」「幅が狭い従来の大島紬の規格がネックとなった」などの意見があった。
会場では、実際に海外視察で持参した商品も展示され、報告会に参加した関係者らと商品開発について意見交換する場面もあった。