地域資源の工夫と活用を呼び掛ける伊東さん
商工会議所が立ち上げ、地域おこしの原動力になった三重県の店舗運営者を講師にした「お店づくり」セミナーが15日夕、龍郷町の秋名コミュニティーセンターであった。秋名集落内外の住民が参加。地域の人材と資源を生かす店舗運営の秘訣について耳を傾けた。
同町主催。秋名集楽の旧保育所跡地活用で計画する「飲食拠点整備事業」の方向性を町民に考えてもらおうと企画。この日は約60人が参加した。
内閣府指定の地域おこしのスペシャリスト(地域活性化伝道師)として、同県尾鷲市の伊東将志さん(45)が来島。「熊野古道」の世界文化遺産登録をきっかけに建設された施設「夢古道おわせ」の立ち上げから、にぎわい創出拠点として成功するまでを語った。
過疎と高齢化が進む同市での起業は厳しい状況で、伊東さんは平均年齢65歳の女性グループによるランチバイキングを同施設で手掛けた。市場価値の低い沖ギスや黒カマスなど地魚をメニューに使い特色を出したという。
「尾鷲でしか食べられなくて、毎日食べても飽きない郷土料理をお母ちゃんがつくる。地域の魅力を来場者に伝えることにつながった」。奇跡のレストランとしてメディアでも取り上げられ、1日3時間の営業で年間3万人の集客を誇るという。
また林業再生にも関わり、間伐材(ヒノキ)を輪切りで販売。銭湯の湯船に浮かべる「100のありか?とう風呂」イベントの全国展開も手がけた。
地域をみつめ直し、素材への工夫を呼び掛ける伊東さん。「大事なものは、ほとんど足元にある。失われつつある資源をチャンスに生かせるよう挑戦してほしい」と結ぶと、参加者は真剣な表情でメモを取った。
同町企画観光課は「各地の成功例を踏まえ、今後の事業に生かしたい」とした。