産業用マルチローターによる散布作業の実演があり、参加した関係者らの注目を集めた
奄美市笠利総合支所農林水産課は21日、同市笠利町のサトウキビほ場で、産業用マルチローター(ドローン)を用いた薬剤散布の実演を行った。農家や行政関係者ら約50人が見学。生産農家らからは「近未来的だ」などとの期待の声が上がった。
講師として招聘=しょうへい=されたのは一般社団法人農林水産航空協会の認定を受け、農薬散布作業の受託・担い手の産業用マルチオペレーター養成も行うジャパンアグリサービス㈱徳之島営業所(徳之島町、松山栄作所長)。今回は同所から松山所長と同所学科教官・農薬指導士の吉田奈津子さんが訪れ、機能やメリットを解説した。
松山所長の説明によると、同機を使用すると水田であれば1㌶12分で液剤散布が可能。省力化や、ほ場管理につながるほか、ハブやイノシシなどの心配をすることなく安全に散布することができるという。奄美群島内でも徳之島と与論島では、すでに8事業所で10台が導入されているという。
吉田さんの操縦で、直径約1㍍50㌢・重さ約25㌔(液剤タンク込み)の同機が飛び上がると参加者らは真剣なまなざしで見たほか、スマートフォンなどで動画を撮影するなど興味津々。今回は強風により薬剤ではなく水で代用しての実演だったが、終了後には農家らから松山所長、吉田さんに価格やライセンスの取得方法、耐用年数などの質問が相次いだ。
同町内でサトウキビ畑を営む男性は「安易に薬剤散布が可能なので、後継者や担い手不足の解消につながる。将来的には行政が助成して進めるべきでは」と期待を込めた。一方で、散布することができる薬剤が限られていることを問題として挙げ、「サトウキビの場合は除草剤をまくことが単収を挙げるために重要。早く許認可が下りれば」と話した。
同課によると、同様の研修を市が主催するのは今回が初めて。「キビ振興やスマート農業普及につながれば」とした。