奄美の海の危機と世界自然遺産への道シンポジウムがあり、海洋保全の意義などが語られた
「奄美の生き物を守る会」と「自然と文化を守る奄美会議」は15日、奄美市名瀬のAiAiひろばで「奄美の海の危機と世界自然遺産への道シンポジウム」を開いた。海の生き物を守る会会長の向井宏氏と日本自然保護協会自然保護部の安部真理子氏が登壇し講演。奄美大島内で起こっている自然に関する諸問題について、関係者らが現状を報告し意見交換等を行った。
開会に先立ち、自然と文化を守る奄美会議の大津幸夫代表は「何のために世界自然遺産があるのかということを、身近な問題とともに学ぶ実のある会合になれば」とあいさつした。
最初に登壇した向井氏は国内で自然海岸が失われていることの理由に、▽ダム建設による流砂系の分断▽港湾の整備▽海砂採取―を列挙。奄美大島では近海4カ所で海砂採取が行われていることを説明し、「県当局は『嘉徳海岸の砂浜流出は海砂採取と関係ない』としているが、証明できていない」と指摘。「陸と同時に海を守らなければいけない。海砂採取の禁止・採石業への規制強化をし、海洋保護区を作る取り組みが必要」と話し、講演を締めくくった。
安部氏は世界自然遺産の仕組みや奄美・沖縄の登録までの道のりを説明した。課題として、「ノネコやマングースなどの対策はIUCN(国際自然保護連合)からの評価を受けているが、外から入ってくる種への対策が弱い。すべての人と物の移動が問題」と強調。すでに登録されている小笠原諸島での取り組み事例などを紹介した。
2氏の講演後は、▽瀬戸内町西古見のクルーズ船寄港地誘致問題▽同町嘉徳海岸の護岸工事問題▽奄美市住用町市の採石場からの赤土流出問題―について各反対団体、地域住民が報告。市集落の栄清安さんは「奄美市は赤土流出防止条例を作るべき」と主張し、「自分の住んでいる島のことをもっと見てほしい」と呼び掛けた。