役場職員や環境省職員などが共同で村道湯湾大棚線にあるハイビスカス並木を伐採した
宇検村と環境省奄美群島国立公園管理事務所は22日、同村の湯湾岳頂上付近のハイビスカス並木の伐採作業を行った。村道湯湾大棚線の約2・5㌔の範囲にある820本ほどの並木を切り倒し、軽トラックなどに積み込んで湯湾岳山麓から搬出。同事務所は核心地域の生物多様性や景観に配慮した処置などと評価し、世界自然遺産登録に住民の協力を得て諸課題に取り組む考え。
2017年10月のIUCN(国際自然保護連合)の現地調査時に、同省は核心地域の湯湾岳に「外来植物で園芸品種のハイビスカスが植えられているのはどういうことか」と指摘を受けて同村に伐採できないか相談。村側は村花でもあるハイビスカスの伐採除去を決定。伐採したハイビスカスの枝や幹などは、チップ状に破砕して堆肥に再生して利用されるという。
この日の作業に役場や同事務所職員ら合わせて約25人が参加。役場駐車場に集合し、作業の流れなど確認して3グループに分かれて現地に移動した。
同事務所によると、現地は国立公園の第1種と第2種の特別地域内に含まれていて世界自然遺産の推薦地で核心地域に該当。同事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は、「IUCNの指摘を受けて伐採を相談したところ生物多様性や景観に配慮する趣旨に賛同してもらい、きょうも多くの職員に協力いただきありがたい。外来種対策は、世界自然遺産目指す上で大きな課題。住民の協力を得ながら取り組んでいきたい」。
作業にも参加した元山公知村長は、村花の伐採は世界自然遺産登録に向けたもので心苦しく仕方がないことと説明。「村民の理解得ながら、湯湾岳を中心に生物多様性の保全などに取り組んでいく。住民向けの啓発も進めていきたい。登録実現が一番だが、登録されてからの観光業や一次産業の活性化に向け準備したい」と語った。
奄美自然環境研究会の常田守会長は、生物多様性などに配慮した英断と評価。「奄美の人が奄美の自然の素晴らしさに気づいてくれた。本質は何かを考えて、(IUCNから)指摘されたことはちゃんとステップアップしてクリアすることが必要ではないか」と話した。