【決勝・鹿児島城西―鹿児島実】2回表鹿実、先制のソロ本塁打を放った4番・坂本(右)=平和リース
【鹿児島】第145回九州地区高校野球大会鹿児島県予選最終日は8日、鹿児島市の平和リース(県立鴨池)球場で決勝があり、鹿児島実が鹿児島城西を2―0で下し、8季ぶり31回目の優勝を勝ち取った。
鹿実は二回、4番・坂本のソロ本塁打で先制。六回に7番・平尾の左前適時打で追加点を挙げた。エース加島(喜界中卒)は八回以外、毎回走者を出しながら、要所を締め鹿城西打線に本塁を踏ませなかった。
鹿実、鹿城西の2チームが九州大会(19―24日・佐賀)に出場する。
【決勝・鹿児島城西―鹿児島実】完封勝利を挙げて、捕手・城下と喜ぶエース加島(右)=平和リース
前日の準決勝・鹿屋中央戦の後、グラウンドに戻った鹿児島実ナインは異例のミーティングを開いた。
4失策、うち六回に喫した3失策が全て失点に絡み5失点。自分たちのミスが敗因になる怖さを痛感し「1つでもミスを減らすこと」(宮下正一監督)を再確認。一方で「ミスを恐れず、大胆に野球をやる」。2つのテーマを持って鹿児島城西との決勝戦に臨んだ。
大胆さが出たのは六回裏の守備だ。二死一塁から中前打で一走が三塁に走った。中堅手・平尾大地は三塁へダイレクト送球。間一髪のタッチアウトでピンチを脱した。「打てなくてチームに迷惑をかけていた。自分の得意な肩でチームに少しでも貢献したかった」平尾の攻めのプレーが功を奏した。
三塁手・小堺佑成は「準決勝で加島を助けられなかった」反省から気迫のこもった守備をみせた。派手なうまさはないが、グローブを下から出す基本に忠実に、「顔面に当ててもいいから前に落とす」気迫で守備機会をことごとく処理し、守備でエースを盛り立てた。
エース加島優太(喜界中卒)も「エースにふさわしい投球ができなかった」汚名返上のマウンドで躍動した。連投だったが「連投の方が、ボールが良くなる」(宮下監督)と考えた指揮官の期待に応えた。九回裏、初めてエラーが出て一死一二塁とこの試合、最後にして最大のヤマ場を迎えたが、準決勝ではできなかった「味方のミスを投球でカバーする」機会が巡ってきたことに奮起。8番・大島を抜いたスライダーで空振り三振。9番・長は古仁屋中出身で中学時代から何度も地区大会で対戦した好打者だったが、力のある直球で四飛に仕留め、優勝を決めた。「むしろこの状況を楽しむ」意気込みで大胆な投球をやってのけた。
「きのうより成長できた姿を見せられたことを自信にして九州大会に挑みたい」と原口萌生主将。エース加島は「まだまだ自分には課題がある。一つずつつぶして九州大会に臨みたい」と意気込みを語っていた。
(政純一郎)