奄美ドクヘリ・18年度出動件数451件

奄美ドクヘリ・18年度出動件数451件

18年度の出動実績などを協議した奄美ドクターヘリ運航調整委

施設間搬送件数 前年度から大幅減少
適正利用呼び掛け

 奄美ドクターヘリ事業の効果的な推進を図る2019年度「奄美ドクターヘリ運航調整委員会」が15日夜、奄美市名瀬の県立大島病院救命救急センターであった。この日承認された18年度出動実績報告書によると、施設間搬送件数が前年度から大幅に減少。同病院の原純同センター長は「各離島で緊急性の高い場合に使ってもらいたいと伝えており、協力が得られているのでは」とその要因を分析している。

 18年度の出動件数は451件(前年度比72件減)。内訳をみると、現場出動が209件(同21件減)、施設間搬送が196件(同66件減)で、出動後のキャンセルは46件。搬送先別では奄美群島内313件、鹿児島市内44件、沖縄県38件だった。

 県本土や沖縄県への長距離搬送が多いのが奄美ドクターヘリの特徴で、同年度総飛行時間は全国平均(257時間32分)の約1・5倍となる389時間50分。18年度は各離島の医療・消防機関と地域住民を対象に説明会を開き適正利用への理解を呼び掛けるなどし、17年の509時間2分からは大幅に減少した。

 委員会では今年度実施した会議内容の報告も。会議での意見に基づき、原センター長は「ドクターヘリ以外の搬送手段について議論する場が求められる」と主張。県危機管理防災局は「県立病院局に情報提供する」と消極的な返答に徹した。

 このほか、インシデント(事故の発生につながりかねなかった事態)、アクシデントなどの安全管理方策について具体的に検討する安全管理部会の設置についても議論。部会設置は承認されたが、委員構成などに異議があり、詳細については事務局が再検討するとした。

 終了後、原センター長は「ドクターヘリのシステムとして地域の医療機関や消防とも連携し、少しずつ成熟してきた。県本土・隣県との協力を高める段階に入っている。群島外への搬送ニーズは増えており、ドクターヘリだけで対応できないものについて、今後検討したい」と話した。