徳之島で撮影されたケナガネズミを捕獲したネコ(森林総合研究所提供写真)
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所などは、徳之島の森林で捕獲したネコのふんなどを分析して、ネコがアマミノクロウサギなどの希少種を捕食していることを明らかにした。またこれらのネコのうち体毛分析で、普段はキャットフードを食べている放し飼いされている個体がいることも判明。同研究所などは研究成果を国際学術誌で公開して、希少種の保護に適正飼養徹底を呼び掛けている。
同研究所は京都大学と㈱奄美自然環境研究センターと共同で、徳之島の森林域で捕獲したネコのふんの内容物分析や、体毛の安定同位体比分析でネコが何を食べているのかを調査。この研究成果を今月7日、国際学術誌『Scientific Reports9巻16200(2019年11月)』でオンライン公開した。
同研究所はネコが人間に身近な存在であると同時に、侵略的外来種として知られ、IUCN(国際自然保護連合)の世界のワースト外来種100に選ばれていることなどを例示。ネコが在来種に及ぼす影響に、人がどう関わっているのかを評価した研究がこれまで無かったことから、アマミノクロウサギやケナガネズミなどの希少種が生息する徳之島で研究を実施した。
ふんの内容物分析から、捕獲したネコの約2割が捕獲前の数日間に絶滅危惧種の希少種を捕食。捕食された希少種は、▽アマミノクロウサギ▽ケナガネズミ▽トクノシマトゲネズミ▽アカヒゲ▽アマミハナサキガエル▽ジネズミ類など6種。
体毛の安定同位体比分析結果からは、体組成の約7割がキャットフード由来であることが判明。このことから普段はキャットフードを食べているネコが、森に入り込み絶滅危惧種を襲っているとした。
同研究所などは、これからはネコを自然環境に対するリスクとしても、とらえる必要があるとして希少種の捕食を減らすため、「自然環境におけるネコの捕獲と、人の生活圏でのネコの適正管理を一体化して進めることが不可欠」などの提言を行っている。