奄美市が空き家調査開始

空き家の状況などを確認する調査員(20日、笠利町佐仁)

倒壊恐れある特定空き家の管理徹底
来年2月まで市内全域で
定住促進へ改修など支援も

 奄美市は18日から市内の空き家の分布や現状を把握する「空き家実態調査」を開始した。今年4月に施行された「空き家対策の推進に関する条例」に基づく調査で、来年2月まで、市内全域を対象に実施する。同市は、今後設置予定の「空き家対策協議会」で、倒壊など保安上危険となる恐れがある特定空き家の認定などを進めるほか、今年度中の「空き家対策計画」の策定を目指し、移住者向けの空き家改修を支援するなど、定住促進も図っていく。

 実態調査は、市の委託を受けた民間事業所の調査員らが、市内を巡回し、空き家の有無や老朽化による倒壊の危険性があるかなどを目視調査する。同市笠利町佐仁では19日から20日にかけ、調査員2人が、住宅地図や水道の利用状況などを基に調査。地図上では空き家となっていない家屋が、実際は空き家になっているケースなどもあった。市は調査員による調査と並行し、自治会などを通じた空き家情報の収集も進めている。

 国が5年ごとに実施する住宅土地統計調査によると、2013年度現在で、同市の家屋総数は2万4030戸で、うち8・4%にあたる2020戸が空き家だった。空き家対策を推進する市プロジェクト推進課は、「相当数の空き家があると思われるが、倒壊の危険性がある空き家や利用可能な空き家の戸数など、詳しい実態は分かっていない」としている。

 調査は▽改修などが難しい廃屋となっている空き家▽改修すれば利用が可能な空き家▽空き家ではない―の3段階に分類、不動産有識者や弁護士、消防機関などの関係者を委員として設置する空き家対策協議会で、老朽危険度などをさらに細分化し、特定空き家の認定など管理徹底を図る。

 市は、空き家の実態を把握し、移住者向け住宅の整備にも生かしたいと考えている。同課によると、移住に関する相談件数は、17年度105件、18年度129件で、19年度はすでに107件に上っている。15年度から実施している空き家バンクで17件の空き家を登録紹介したが、現在、移住者に紹介できる物件などの情報はほとんどないのが現状で、同課の担当者も「市内の民間不動産でも移住者向けの物件は少ない。定住促進を図る上で、住宅の確保は大きな課題」と話し、今回実施する実態調査に期待している。