住民約60人が出席したミカンコミバエ航空防除に関する説明会(2日、瀬戸内町きゅら島交流館)
県経営技術課は3日、開始予定の果樹・果菜類害虫のミカンコミバエの航空防除を瀬戸内町全域で開始する。開始に先立つ2日、県大島支庁農政普及課と同町は瀬戸内町古仁屋のきゅら島交流館で説明会が行った。町内の農家・一般住民約60人が出席。門司植物防疫所名瀬支所の樋渡正一所長は「防除を確実に行い、生産者が安心して生産・出荷できるようにするためのもの。ミカンコミバエが請島や加計呂麻島でまん延しているとの誤解や風評被害を広がらないようにするために実施する」と説明した。
同町では11月6日から同月28日までに加計呂麻島と請島の12地点18匹のミカンコミバエの誘殺が確認されている。確認後、▽トラップ(わな)増設▽テックス板(オスの成虫を誘引し殺虫)設置▽寄主果実調査▽ベイト剤(成虫を誘引し殺虫)散布▽請島住民に協力を呼び掛けてのバンジロウ(グアバ)の伐採―などの対応が行われている。
これらに加えて3日から実施される予定の航空防除は、人が入ることが困難な山間部などに有人ヘリコプターからテックス板を散布するもの。同支所・県によると、3日から20日までの期間に計4日間かけ同町内全域(国立公園一部地域・水源地を除く)に計3万9千枚を散布予定。また、奄美大島側の国立公園区域については回収を前提に1千枚を手作業で設置する。
散布を担うのは2015年度の緊急防除時に航空散布を行ったのと同じ航空会社で、2日昼には確認飛行を実施。作業では高さ約10~20㍍からテックス板を散布する。1日目に請島・与路島・加計呂麻島、2~3日目は加計呂麻島のみ、4日目に奄美大島側で散布する方針だが、悪天候時はヘリが飛行できないため順延する場合もあるという。
説明会で樋渡支所長は発見・対応状況を説明し、「請島の池地で誘殺が多発していることから、同地域での発生も考慮し、防除対策の強化を実施した」。また、航空防除について、「15年の緊急防除時のような状況にならないよう実施するもの。航空防除により、果物などの島外出荷が規制されることはないので安心してほしい」とした。
出席者からは「対応が後手に回ってないことはうれしいが、今後台風後などに散布することはできないのか」といった意見も挙がったが、樋渡支所長は「沖縄と違い飛来が少ない。テックス板を撒くことで、トラップの効果が落ち、気づいたときに大量発生しているような事態に陥ることもある。奄美ではトラップ調査で対応できる」とした。
航空防除実施の説明以外に、県大島支庁農政普及課は①不要な果樹(バンジロウなど)の伐採②適期収穫③何かあればすぐ関係機関に連絡―の3点を出席者らに呼び掛け。また、テックス板が山間部以外の集落などで発見された場合も素手で触らず連絡するようにも伝えた。
航空防除に関する問い合わせ先は電話0997―52―0299(県大島支庁農政普及課特殊病害虫係)、テックス板を発見した場合の問い合わせ先は、同係か、電話0997―72―1174(瀬戸内町農林課)、電話0997―52―0459(門司植物防疫所名瀬支所)まで。