湯湾岳などで見られる希少種等を講演した服部さん
環境省奄美群島国立公園管理事務所は13日、宇検村湯湾の元気の出る館で奄美の希少な生き物講演会「野生動植物はわきゃ島の宝」を開いた。講演などを通して世界自然遺産推薦地のコアゾーンである湯湾岳の希少種などを学んだ。
講演会は地元住民を対象として、自然への知識向上や自然環境保全の機運醸成を図る目的。講師を東京大学付属医科学研究所の服部正策特任研究員が務めた。
開会に先立ち、元山公知村長があいさつ。「議会でも世界自然遺産登録に関した質問などが出た。希少種や外来種などを学び、日頃からの外来種駆除活動が世界自然遺産につながる。講師の話を聞いて勉強したい」と話した。
続いて同事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官と、あまみ大島森林組合業務課の川畑敏彦課長が自然遺産に向けた取り組みや休日のパトロールなどを報告した。
服部さんがスライド資料などを使い、湯湾岳で見られる希少種を紹介。「湯湾岳は奄美大島で最も高い山。ここにしかない植物では、アマミアセビがある。また名前も決まっていない昆虫も存在する」と説明した。
大陸の一部が離れて中琉球(奄美や沖縄を含む)が誕生した経緯をスライドで図示。「昔のハブは、今のハブより大型だった。今も進化を続け奄美と沖縄のハブでは毒の性質も違う」と語った。
また服部さんが同村の学校で行った夜の生き物調査の結果を、撮影した写真で披露。名柄小中学校以外の学校では、ハブやアカマタなどがいることが判明。田検小と田検中では、日本一美しいと言われるアマミイシカワガエルがすんでいることが紹介された。
服部さんは「宇検村は自然がとても豊かな場所。山に行かなくても、希少種などを見ることができる」とまとめた。
質疑応答では、「サシバはハブを捕食するのか」の質問があり、服部さんは「昼間のハブは、サシバから見えない場所にいるかもしれない。捕食しないのでないか」と答えた。