野生復帰願い動物園移送

交通事故に遭い保護され野生復帰に向け治療を受けるマツバ(平川動物公園提供)

環境省、交通事故防止へ注意喚起
徳之島で保護のクロウサギ

 環境省徳之島管理官事務所は26日、交通事故に遭い動物病院で応急治療し保護していたアマミノクロウサギを長期ケアのため鹿児島市の平川動物公園に移送したことを発表した。同事務所は野生復帰を願い、被害が出ないように住民などにクロウサギの事故防止を呼び掛けるという。

 同事務所によると10月3日早朝、住民が天城町松原の県道618号線の道路脇でうずくまっているアマミノクロウサギ(メス、成獣)を発見して、同事務所に連絡。同事務所職員が保護して徳之島動物病院に搬入して応急処置し、フェリーで奄美大島に送り龍郷町の奄美いんまや動物病院に搬入。クロウサギは保護された地名の松原にちなんで、「マツバ」と名付けられたという。

 個体は同病院で精密検査して下顎=あご=の骨折が判明。10月4日から、噛み合わせを矯正するため定期的に歯を削るなどの治療を行った。

 個体の長期的なケアと治療が必要になり、治療態勢がより整っている鹿児島市の平川動物公園病院に送ることに。今月5日、時間と個体への負担を考慮してペット用ケージに収容し航空機にて鹿児島空港に輸送。空港からは車で動物公園の治療施設に搬入され、個体は現在動物公園で治療・飼育中とした。

 徳之島管理官事務所の沢登良馬国立公園管理官はマツバについて、「無事に命が助かったことにホッとしている。発見し連絡してくれた地域の人、治療にあたってくれた獣医師の先生方に感謝を伝えたい。野生復帰できることを切に願う」とコメント。交通事故対策等に関して、「島民や観光客への注意喚起に努めたい。キャンペーン等を通じてチラシやパンフレットを配布する。夜間パトロールの中でドライバーに会った時は声掛けして、交通事故防止を呼び掛けたい。交通事故が多発する場所には、すでに看板を設置済み。今後の事故の発生状況を見ながら、看板の新設等も検討したい」と話した。