光センサー選果場実演も

光センサー付き選果場の利用促進へ今月下旬、市場の仲買人もまじえた2回目の出荷検討会が予定されている

利用促進へタンカン
収穫期前に2回目検討会

 「奄美たんかん」のブランド化へ光センサー付き選果場の利用促進を図ろうと、JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹専門部会(大海昌平部会長)は、JA以外の販売窓口である市場関係者もまじえた出荷検討会を昨年4月下旬に開いたが、タンカンの収穫期を前にした今月下旬、2回目を計画している。選果機を実際に稼働させるデモンストレーションも予定。市場で競りを行う仲買人に、光センサーを通すことでデータに基づいた商品の差別化が可能なことを認識してもらう。

 生産者やJA、市場関係者、行政などが出席した初会合は、2018年度産タンカンの取り扱い終了を受けて4月下旬に開催。同年度産のJA共販量は67㌧にとどまり、奄美大島選果場(奄美市名瀬朝戸)開設以来最低を記録。多くが地元市場(名瀬中央青果㈱)に流れたが、市場では生産者のほとんどが選果場を通さずに出荷するため、粗悪品も流通するなど品質のばらつきが顕著だった。品質統一へ市場出しを含めて全てのタンカンを、選果場(光センサー選果機)を通すことが産地の課題となっている。

 部会では2回目の会合には、より多くの仲買人の参加を目指し働きかけ。今月22日、選果場で予定。大海部会長は「光センサーを通したものは、すべて品質がいいという受け止めがあるようだが、それは勘違い。外観と品質のランク付け(秀・優・良)で商品の差別化ができ、これによりランクに沿った品質の保証を示すことが可能になる」と説明。光センサー機能を仲買人に認識してもらうため、実際に選果機を稼働させ実演する方針だ。

 光センサー選果機の利用は、選果場を管理運営するJAが取り扱う共販だけでなく、選果のみを依頼する委託もある。共販は全て光センサーを通したものだが、市場に出回るものも選果委託が徹底すれば品質統一が実現するだけに、市場品に値段をつける仲買人の理解(光センサー優先)が選果場利用を左右しそうだ。

 なお、JAでは部会員(生産農家)を対象にしたアンケート調査を昨年末から進めている。選果場を利用する共販量の把握と同時に、果樹農業の将来像も明らかにしていく。

 奄美大島で生産されているタンカンの出荷窓口は、JA、市場、生産者による個別販売と複数ある中、窓口の一元化を目指し奄美群島振興開発事業(奄振)のソフト事業を活用して選果場が整備された。総事業費は2億9850万円。光センサー選果機では、果玉1玉ごとに糖度やクエン酸など内部品質が瞬時に測定できるほか、外部の傷を測定する機能も備えている。