13日、奄美市名瀬井根町の中原商店では「ナリムチ」を買い求める多くの客が訪れた
家族の健康や繁栄願う
小正月(1月15日)前日の14日は、五穀豊穣や無病息災を祈る「ナリムチ(餅花)」――。奄美市内の商店などでは色鮮やかに飾られたナリムチが店頭を華やかに彩り陳列。来店者らは新春の風物詩に幸をあやかろうと、家庭用やお供え用として買い求め、家族の健康や繁栄を願った。
ナリムチは北大島や徳之島で行われる地域の伝統的な行事の一つで、家内安全や長寿、商売繁盛などを祈るもの。4色(白、赤、黄、緑)に着色した餅を花に見立ててブブ木(リュウキュウエノキ)に細工し、床の間や神棚、仏壇や墓前などに飾る。
ブブ木は切れば切れるほど枝を伸ばすことから「繁栄」を象徴。鈴生りにつけた餅のように「お金がたくさん成るように」などの願いが込められており、薩摩藩から伝わった風習だとされている。
同市名瀬井根町の中原商店(中原一成代表)では、墓用の台座付きや神棚用の飾木など用途に合わせた4種類の商品を販売。8日から売り出し、13日は「毎年変わらぬ売れ行き」(中原代表)と、多くの買い物客が訪れるなどピークを迎えた。
介護施設に勤める森田まち子さん(62)は、「家族の健康を願って。毎年子どもと作っているけど今年はどうしても仕事の関係で都合がつかなくて」と飾木などを買い求めた。
鹿児島市内で暮らす息子夫婦に毎年送っているという西シガ子さん(89)は「1月14日は2人がカップルになった日で、記念日と併せて地域のしきたりを忘れないようにと毎年送っている。絶やすことなく続けたい」と笑顔で話した。