ノネコ問題・金久中で出前授業

奄美の生態系に悪影響を与えているノネコ問題について学んだ金久中の出前授業

生態系への悪影響報告
室内飼育や不妊手術の徹底呼び掛け

 奄美市名瀬の金久中学校(船倉文章校長、300人)で14日、奄美大島のノネコ問題に関する出前授業があり、奄美ネコ問題ネットワーク(ACN)副代表の鳥飼久裕さんが、野生化したノネコが希少な野生生物を襲うなど生態系に悪影響を与えている現状を報告。「奄美の自然を守り、猫が幸せに暮らすためにも、飼い主は室内飼育や不妊手術を受けさせるなど適正に飼育することが必要」と呼び掛けた。

 講話は朝の全体集会の時間に行われた。鳥飼さんは、奄美大島に推定600~1200匹のノネコと数千~1万匹以上の野良猫がいるという推計やノネコを減らすために2018年7月から昨年末までに135匹を捕獲、不妊手術や飼い主を探すなどノネコを減らす取り組みを続けていることなどを説明。「ネコは人間が島に持ち込んだ生き物。外来種であるネコが山に入ることで、奄美の生態バランスが崩れてしまう。ノネコを森から減らすことが必要」と指摘した。

 また、1年間に約200匹が保健所に持ち込まれるほか、奄美大島と徳之島合わせ約300匹の猫が交通事故に遭っている現状なども報告した。病気やケガを負うなどして保護された野良猫が、その後飼い主の下で健康に暮らしている様子を写真などで紹介。猫の正しい飼い方として①室内飼育②首輪・マイクロチップ装着③不妊手術―が奄美大島の5市町村で条例化されていることを説明。「ノネコや野良猫を増やさず、人も猫も野生生物も住みやすい奄美大島になるよう飼い猫は最後までしっかり責任をもって飼育することが大切」と呼び掛けた。

 2匹の猫を飼っているという3年生の下河空蒼さん(15)は「猫を捨てる無責任な人のせいで奄美の生態系が脅かされていることがわかった。世界自然遺産登録を控える島で暮らす人間として、責任と愛情をもって最後までしっかり飼うことが大切だと思った」と話した。