本格焼酎鑑評会

各焼酎の出来を確かめる審査員ら

黒糖31点が出品
「個性感じバラエティーに富む」

 【鹿児島】2019酒造年度(19年7月―20年6月)に県内で製造された本格焼酎の出来ばえを評価する県本格焼酎鑑評会が22日、鹿児島市錦江町の県酒造会館であった。

 県酒造組合が本格焼酎の酒質向上を目指して毎年実施している。今年はサツマイモ、黒糖、米、麦の原料別に103製造場から231点の出品があった。このうち奄美の黒糖焼酎は17製造場、31点だった。

 全国初の女性鑑定室長となった熊本国税局の岩田知子室長を審査長に、県工業技術センター、鹿児島大から7人が審査を担当した。審査委員は、グラスにくみ分けられた焼酎の香りをかぎ、口に含んで採点していた。

 岩田審査長は「芋の特性を生かし、フルーティーな香りや柑橘系の香りがするものなどもあり、甘味を感じるものもあった」。黒糖に関しては「黒糖由来の香りと甘味があり、蔵元の個性を感じるバラエティーに富んでいた」と評していた。

 18酒造年度、鹿児島県の本格焼酎全体の生産量は、13万3338㌔㍑で前年比94・5%。出荷量数は10万1165㌔㍑で前年比92・9%と減少傾向が続いている。生産量はピーク時04年の52・1%、出荷量はピーク時06年64・9%まで落ち込んでいる。

 「消費者の嗜好の変化などで、東京、大阪、福岡など大消費地の落ち込みが激しい」と県酒造組合の中玉利豊専務理事。消費拡大を目指して、5月の渋谷おはら祭で「焼酎ストリート」を開催したり、3月には県と共同で初めて札幌での商談会を開催するなど、PR活動を企画している。具体的な案は出ていないが、10月の鹿児島国体でも何らかのPRイベントに取り組みたいという。「北海道など乙類焼酎の未開拓の地に市場の可能性がある。本格焼酎の味を知ってもらう場を作りたい」と話した。

 審査結果の発表は2月14日、同市の城山ホテル鹿児島であり、優秀な製造場、杜氏が表彰される。