19年希少種交通事故発生状況

クロウサギ輪禍38件
アマミトゲネズミは初確認
環境省 夜間運転や犬猫の適正飼養注意促す

 環境省奄美群島国立公園事務所は28日、2019年の希少種交通事故被害発生状況などを発表した。今夏の世界自然遺産登録を目指す奄美大島と徳之島で、アマミノクロウサギやトゲネズミなどの希少種が交通事故に遭い死亡するロードキル(輪禍被害)の発生件数が、クロウサギは過去2番目となる38件。アマミトゲネズミは初確認され、トクノシマトゲネズミとケナガネズミは過去最多になったことが分かった。

 同事務所では、希少な野生動物の生息に影響を及ぼす要因把握や保護対策への活用のため、野生動物の死体の情報収集とデータ分析などを実施。アマミノクロウサギ、アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミ、ケナガネズミの4種について、死体確認件数や死因内訳から輪禍被害が増加していると指摘。

 種別にみるとクロウサギの交通事故は奄美大島で死体61のうち過去3番目に多い22件、徳之島は死体51のうち過去2番目となる16件を合わせて38件を確認。アマミトゲネズミは記録を始めてから最多の死体確認数64件で、交通事故は初確認された。

 トクノシマトゲネズミも死体確認数は、17件で過去最多を記録。うち4件が交通事故でこれも過去最多を更新した。

 ケナガネズミは交通事故件数が21件(奄美大島14件、徳之島7件)で過去最多。奄美大島の14件は、これまで最多の17年の4件の3倍以上が確認された。

 死因分析は、死体の状況や発見現場、死体解剖結果からの推測。「不明・その他」は、死体の劣化が激しい、死体の一部のみの回収などの理由で、死因が特定できなかったもの。

 同事務所は、▽林道では野生動物が急に飛び出しても止まれる速度で運転する▽クロウサギなどの夜行性動物が行動する夜間は特に注意する▽犬や猫を飼うときは、登録をして犬は放し飼いせず、猫は室内飼いを守る―などを呼び掛けている。

 なお同省奄美野生生物保護センター(電話0997―55―8620)や徳之島管理官事務所(電話0997―85―2919)では、アマミノクロウサギなどの希少種の死体情報を集めており、傷ついている個体や死んでいるものを見つけたら連絡するよう求めている。