奄美大島島内のコーヒー栽培施設を視察する行政担当者や生産者(奄美市笠利町内)
奄美でのコーヒーづくりの可能性を探ろうと、行政機関や農業関係者が集まった情報交換会が20日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。奄美群島内で試験的に進められているプロジェクト担当者の基調講演や現地視察を実施。新たな農産品の生産に関心の持つ行政機関や農業関係者が耳を傾けた。
奄美でのコーヒー生産振興を目的に県大島支庁が開催。県や群島内の自治体、生産者など約50人が参加した。
味の素AGF㈱SCM推進部生産支援グループの梅村昌生さんが「徳之島コーヒー生産プロジェクトについて」を講演。コーヒー豆生産の有望地として、地元と生産体制の構築に取り組んでいる現状を伝えた。
プロジェクトは、3年前に発足した地元生産者会(吉玉誠一会長)と同社が連携し、は種から収穫まで一貫した生産体制の確立を目指す。台風対策や土壌改良など支援を行い、2022年テスト販売、23年本格販売を計画している。
世界有数の消費国として、国内でのコーヒー生産の意義を強調する梅村さん。「日本人の味覚に合うコーヒー提供に向け、奄美との連携をさらに高めていきたい」と話し、耕作放棄地の解消や雇用創出などの展開にも期待感を示した。
質疑応答ではコーヒーを試験栽培している生産者から質問が相次ぎ、日当たりや土壌づくりなどで意見を交わした。
奄美の生産に適した品種(豆)や出荷期間などについて、梅村さんは、「生産体制、流通面などから検討を重ねることが必要」「は種から4年程度」と回答。吉玉会長は本格的な生産に向け、▽低木▽病害虫に強い▽実付きの良さ―を考慮した品種を選ぶことをアドバイスした。
同市笠利町の栄コーヒー園で現地研修があり、長年植栽している品種を確認。栄友一代表は成長見通しや収穫予想を説明した上で、「その土地に合った品種を見つけ、栽培することが大切」と語った。