全面解除もリスク警戒

利用客の姿もまばらな奄美空港の搭乗手続きカウンター(26日)

医療体制考慮 引き続き感染症拡大防止へ
26日、5市町村長が対策会議

 東京都など5都道県で続く新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除された25日、奄美市の朝山毅市長は「依然として移動などに伴う感染リスクは残されている」などとコメント、奄美大島の医療体制を考慮しながら、引き続き感染症の拡大防止に取り組む考えを示した。全面解除を受け、奄美大島5市町村長は26日、対策会議を開き、今後の方針などを決定する。

 政府による緊急事態宣言は、4月7日に東京や大阪など7都府県で初めて発令され、以降全国に対象地域が拡大されたが、鹿児島など既に解除した42府県を含め、49日間で全面解除となった。一方で、5市町村は県境をまたぐ不要不急の帰省や旅行などについて、まん延防止のため引き続き自粛するよう呼び掛けている。

 全面解除となった26日も、奄美空港の搭乗手続きカウンターや到着口ロビーは閑散とし、日本航空(JAL)の鹿児島到着便から降りる客の姿もまばらだった。同空港では東京、大阪、福岡を結ぶ便を中心に、コロナの影響から航空3社ともに、運休が続いており、観光業を中心とする奄美の地域経済が、以前の活気を取り戻すのはまだ先といった状況だ。

 奄美大島商工会議所の有村修一会頭は「県境をまたぐ移動や島外からの来島自粛などの呼びかけは継続しており、緊急事態宣言の解除によって、状況が大きく変わることはない」と前置きしたうえで、「全国で経済活動再開の動きが出てきたことは大きい。奄美でも飲食店の営業が再開され、少しずつではあるがにぎわいも戻りつつある。コロナの感染防止対策に最善の配慮をしたうえで、全国の動きに注視し、島内事業者の支援に全力を注ぎたい」と話した。

 一方、あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長は「緊急事態宣言が解除されたからと言って、コロナの感染者がゼロになったわけではない。県や島内市町村が、県外や島外からの来島などに対しどのような判断をするのか注視する必要はあるが、すぐに島外からの観光客を受け入れることは難しい。当面は島内の需要喚起に努めながら、本格的な観光客受け入れが可能になるまで、事業所間の交流などを進めるなど、受け入れ態勢の準備を進めたい」としている。