鹿児島国体延期が正式決定

開催時期 知事「できるだけ早く」

 【鹿児島】今秋鹿児島で開催予定だった第75回国民体育大会、第20回全国障害者スポーツ大会に関して、日本スポーツ協会、日本障がい者スポーツ協会、スポーツ庁が19日、都内で会談。リモートで参加した三反園訓知事=写真=が県庁で会見し、両大会の今秋開催を断念し延期することを正式に発表した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で国体に向けての予選会が実施できていない。また国体開催期間中は、全国から約80万人の移動が予想され、感染のリスクが高まることなどを理由に今秋の開催を断念した。

 延期後の開催時期は未定。鹿児島県を含む主催の4者で協議を続ける。21年の三重、22年の栃木、23年の佐賀、24年の滋賀、開催が決定している後催県とも調整しながら正式な時期を決める。調整は難航が予想されるが三反園知事は「48年間、待ちに待った国体が今年開催できないのは残念。今後も4者で協議し、後催県の知事とも相談しながら、できるだけ早く鹿児島で開催できるように努力していく」と語っていた。

「残念」「安堵」「万全態勢で」
競技会場の奄美自治体代表

 県など鹿児島国体の主催4者は19日、10月開催を断念し延期することを発表した。新型コロナウイルスの影響によるもの。延期後の開催時期などは未定。奄美群島の自治体からは落胆などの声が上がった。

 県・日本スポーツ協会・スポーツ庁・日本障がい者スポーツ協会は会見を開き、新型コロナウイルス流行の状況を鑑み、延期で合意したことを発表した。延期後の日程については早期に結論を出すとしているが、鹿児島県の後に開催予定地となっている三重・栃木・佐賀・滋賀の要望も踏まえる必要があり、具体的な日程は未定。

 競技会場となっていた奄美群島の自治体からはさまざまな声が上がった。トライアスロンの会場となっていた天城町の森田弘光町長は「2012年から準備を重ねてきて、19年にはリハーサル大会も成功させた。本大会に向けて地元の機運も高まっていただけに、延期は残念。しかし新型コロナの感染リスクを避けるためにはやむを得なかったと思う。可能ならば来年開催してほしい思いもあるが・・・開催に向けてのモチベーションをどう上げていくか」と課題を示した。

 一方で、「中止」ではなく「延期」にとどまったことに安堵の声もある。パワーリフティング、ミニバレーの会場となっていた知名町の今井力男町長は「中止ではなくて延期なのでひとまずは安心した。これまでも大会に向けて万全の準備をしてきたが、引き続き県・関連団体と連絡を取りながら、工夫を凝らして準備を整えていきたい」と前向きな姿勢。

 相撲の会場となっていた奄美市の朝山毅市長も「今年度内の開催絶望視は致し方ない。中止ではなく、延期ということ、開催時期については早期に結論を出すということなので、引き続き希望と期待を持って、万全の態勢で大会を迎えることができるよう、関係者の皆さまと一丸となって取り組みを進めてまいりたい」と団結して難局に挑む方針を示した。

 アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』の結びの一文のように「待て、しかして希望せよ」の姿勢が求められている。