アオウミガメが産卵

穴を掘るウミガメ

産卵するウミガメ

ウミガメの卵(いずれも提供写真)

笠利町佐仁集落 住民と児童が観察
「元気な赤ちゃん生まれて」

 奄美市笠利町佐仁の海岸で18日、アオウミガメが産卵した。地域住民と佐仁小学校の児童が観察した。時間をかけて産卵場所を準備し、涙を流して産卵する様子は、観察した人の心に強い印象を残した。

 同校の柏本啓太教頭によると、18日午後7時半、地域住民が海岸を移動するアオウミガメを発見。住民らと佐仁小学校の児童1人を交えての観察会となった。ウミガメが前足、後ろ足を起用に使って砂浜に30㌢ほどの穴を掘ると、観察していた住民らの期待感が高まった。しかしウミガメは産卵を始めず再度移動を開始。1分後に2個目の穴を掘った。

 そこでも産卵はせず、住民らの間にも諦めムードが漂った。しかしウミガメはさらに30㍍ほど移動。3個目の穴を掘り始めた。住民の一人が「そういえば、3回目の穴に卵を産むと聞いたことがある」とつぶやいた後、ウミガメは動きを止めて産卵を開始した。

 ウミガメの息遣いに同調するように、少し大きめのピンポン玉のような卵が次々と産み落とされた。砂まみれのウミガメの顔には、目から流れた涙が筋を作っていたという。「例えようのない神秘的な光景で、全員が言葉を失った」と柏本教頭は述べる。

 産卵を終えたウミガメは、後ろ足で優しく卵に砂をかけ、4本の足で砂浜をきれいにならした。初めてアオウミガメの産卵を見た、佐仁小学校四4年生の安住菜々美さん(9)は、「卵を守るために、三つも穴を掘ったウミガメはすごいと思いました。元気なウミガメの赤ちゃんが生まれるといいなと思いました」と感想を話した。