エコツアールート整備へ

NPO主導のエコツアールート整備へ「カムィヤキの森」植物調査を行なった関係者=17日、伊仙町検福

NPO徳之島虹の会 環境省補助事業で決定
伊仙町「カムィヤキの森」

 【徳之島】環境省の新型コロナウイルス感染症対策関連の公募事業、2020年度(補正予算)「国立・国定公園への誘客推進事業、ツアー・イベントの実施に係る事業」に、NPO法人徳之島虹の会(所在地伊仙町、政武文理事長)申請の「自然と文化の〝地域の宝〟を伝える『カムィヤキの森』のエコツーリズム推進事業」が決定した。17日、遊歩道の整備などに向けた植物調査があった。

 場所は、同町伊仙―検福などにかけた奄美群島国立公園(普通地域)内の椎など照葉樹の国有林。一部は中世の南島系陶質土器の一大生産地の窯跡群遺跡「徳之島カムィヤキ陶器窯跡」(国指定史跡)エリア周辺の〝窯跡支群包含地域〟にも重複。さらには、第二次世界大戦中に旧日本陸軍が掘削して巡らせた散兵壕(さんぺいごう)の戦争遺跡も残存。自然・歴史・文化複合型の極めて重要なエリアだ。

 徳之島虹の会の同事業費交付決定額は621万円。事業目的は「新型コロナ収束後と世界自然遺産登録に備えた誘客準備や自然環境保全体制の整備」(要旨)。環境省や林野庁、伊仙町歴史民俗資料館などと連携・協力。具体的には古来の〝里道〟を歩道に活用するため、①専門家を交えた調査②松枯れ倒木に着生した希少ランの類の採取・移植③自然や文化財の解説看板の設置④倒木の撤去・安全確保⑤エコツアーガイドの資質向上⑥エコツアー完成⑦親子など対象の同ツアー開催⑧「カムィヤキの森ルートマップ」の作成配布―などを掲げている。

 作業に向けた植物調査、エコツアーガイド・環境アドバイザー研修には、鹿児島大学の鈴木英治氏を講師に16人が参加。〝里道〟に沿って絶滅危惧植物などの分布状況を確認し合った。町歴民館の学芸員からは、未調査・未指定のカムィヤキ古窯支群など埋蔵エリアの傾斜地には立ち入らないよう要望していた。

 奄美群島国立公園での同環境省事業にはほかに、▽奄美自然学校▽アマミアン・ファーム㈱▽一般社団法人ヨロン島観光協会▽BLUESchoolDesign㈱▽シフクノアトリエ▽NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所―との計7団体が採択された。