「ママをやめてもいいですか!?」上映

ドキュメンタリー瀬戸内町阿木名で開催した映画「ママをやめてもいいですか!?」の上映会(提供写真)

共感の声、シェア会も 瀬戸内町で

 ドキュメンタリー映画「ママをやめてもいいですか!?」の上映会がこのほど、瀬戸内町阿木名の交流スペース「HUB a nice d」であった。大人、子ども含め11人が参加。参加者は子育て中の母親が多く、上映中には自分の子育てと重ね合わせてうなずいたり、笑顔を見せたりしながらスクリーンに見入っていた。上映後には2グループに分かれてシェア会が行われ、印象的なシーンや感想などを共有した。なお、上映会は3日間に渡り4会場で実施された。

 映画は、ドキュメンタリー映画を制作する豪田トモ氏が監督。「うまれる」をはじめとして、命や家族をテーマとしたドキュメンタリー映画を制作している。同作では複数の親子の子育ての日常を映し、命を育む喜びだけではなく、現代社会の母親の悩みや葛藤などの「陰」の部分にもスポットを当てる。また、父親側の思いや意見、子育て中の親自身の子どもの時の心の傷などにも触れ、さまざまな思いを抱えながらも命と向き合う姿を温かく、コミカルに描いている。

 上映会を主催したのは龍郷町在住の吉田真理子さん(29)と奄美市名瀬在住の平あかりさん(27)。吉田さんは4年前に東京から奄美大島に夫婦で移住し、今月1歳の誕生日を迎えた息子と3人で暮らす。身近に頼れる身内がおらずに孤独を感じた時期があったこと、同様に感じる親やこれから子育てを経験する人が集う場を設けたいという思いから、子育てサークル「amaminko(あまみんこ)」を立ち上げた。現在子育て中の親同士や現役保育士らが集い、助産師をはじめとした専門家を招いてオンライン・オフラインの講習会を開くなどして、交流や情報共有の場づくりを行う。今回は、子育てを題材とした映画を通してつながりを持つことを目的に開催したという。

 上映会に参加した濱本由香さん(32)は「子育てで身近にサポートがない時期を経験したので、共感する部分が多かった。アニメーションを用いた例えが分かりやすく、印象に残った」。奄美市名瀬から訪れた女性は「子育ては経験したことがないものの、自分の親と重ね合わせたり、子どもを持つ友人の大変さを感じたりしながら鑑賞した」と感想を語った。

 吉田さんは「母親ではない立場の人も参加してくれてよかった。シェア会では、感想を言葉にすることで『ひとりじゃない』という想いが共有できたのでは」と期待を込めた。