初の保護猫「譲渡会」 わんにゃんハートネットとくのしま

事前告知で初開催された保護猫の「譲渡会」(中央は里親希望者)=4日、徳之島町

「幸せのレールにのって…」
感動を分かち合う

 【徳之島】徳之島の動物愛護ボランティア団体「わんにゃんハートネットとくのしま」(政田由美子代表、会員50人)が保護した猫たちの譲渡会が4日、徳之島町亀津の保護施設(シェルター)であった。不妊去勢費用など実費負担と「適正飼養・終生飼養」を条件に里親3人が計4匹を〝家族〟に迎えた。会員たちは物心両面の日ごろの苦労を忘れて感動を分かち合った。

 「犬も猫も命が脅かされない『人も猫も犬もしあわせに暮らせる島』を実現するため協働を」―。約3年半前、飼養放棄された犬・猫の保護や里親探し、里親の元への空輸手伝い(パッケージボランティア)など「点」の活動していた有志たちが手を取り合って発足。昨年11月、徳之島町の無償貸与(期限付き)で旧高齢者福祉施設の一部を再利用し、活動拠点の保護施設を開設していた。

 本来は「適正飼養などの啓発活動」に主眼を置いていた。政田代表(47)や施設担当の幸千恵子さん(63)によると同開設以降、保護飼養を余儀なくされた持ち込み数は子猫を中心に計40匹(うち2匹は一時預かり、4日現在18匹を保護中)。その他については動物病院で不妊去勢手術や混合ワクチン接種、ノミ駆除を施した後、島内外の里親たちの元に引き取られた。

 一般住民らが発見、保護して持ち込む猫のほとんどは、「人に順応していてノミも少なく、毛並み、耳の中もきれいなことなどから飼い猫の子ども。野山に遺棄されて傷ついたりした子猫たち」という。徳之島3町(ネコ対策協議会)が実施中の野良猫対象のTNR(捕獲・不妊去勢・元の場所へ)事業については、「野良猫の発生源である根本的な問題として飼い猫も(公費助成で)手術をしないと毎年、野良猫の数は減らないと思う」とも指摘する。

 事前告知で初開催となった今回の「譲渡会」。里親希望の3人は、1匹当たりの不妊去勢手術費(1万4500円)やワクチン接種費(3000円)、ノミ駆除費1500円の負担も快だく。幸さんらは「30代の若い男性でありながら猫が大好きで詳しかった。猫たちが〝幸せのレール〟の第一歩にのったようでうれしい」と感動していた。

 一方では、完全ボランティアで支え合ってなお重圧の運営経費は会員の会費(月500円)や寄付金、買い物客らの募金箱への募金だけが頼り。「猫の手術代だけでも行政が補助してくれたらありがたい。実際にはパンク状態」の現実がのしかかっている。キャットフードや猫砂(トイレ用)などの現物支援も大歓迎という。

 問い合わせは、▽政田代表(電話090・8768・7431)▽幸さん(電話090・2509・6556)へ。