県議会一般質問

風向風速計、ライブカメラ設置
与論港の抜港対策で取り組み
徳之島空港交付金適用 航空会社動向など踏まえ検討

県議会9月定例会は20日、引き続き一般質問があり、田畑浩一郎議員=自民党、南九州市区=、内田一樹議員=無所属、薩摩川内市区=、禧久伸一郎議員=自民党、大島郡区=、白石誠議員=自民党、薩摩郡区=が登壇した。禧久議員が取り上げた与論港(供利地区)の抜港・条件付き運航を減らす方策について当局は、正確な風向風速を即時に把握できる風向風速計設置、町はライブカメラ設置をそれぞれ進めていくことを明らかにした。

安原達・土木部長兼本港区まちづくり総括監は答弁で「船社と意見交換を行ったところ与論港への接岸の可否については『正確な風向風速など現地の状況について即座に判断できる仕組みが必要』との意見を頂いた」と説明。これを受けての県の認識について「抜港や条件付き運航の主な要因である風を現地において正確に把握することが今後の対策を検討する上でも必要なことと考えている」とし、当面の対策として今年度、風向風速計、ライブカメラ設置を進めていくとした。

空港関係で、鹿児島空港では多くの離島便でボーディングブリッジに接続されていないため雨天時など利用者の利便性確保に課題がある。西正智・地域政策総括監は答弁で鹿児島空港将来ビジョンでは「離島便に対応できるボーディングブリッジの導入を検討すること」としているとして、「昨年度はこれらの内容を盛り込んだ施設規模や積算等にかかる委託調査を実施し、具体的な施設内容が示されたところであり、今年度の同ビジョン推進会議において調査結果を踏まえ空港再整備の在り方について協議を行うこととしている」と述べた。

地元の強い要望がある徳之島空港への関西圏から直行便(週2・3便)就航について西総括監は「需要予測や採算性の面から、まずは航空事業者の意向が重要と考えている」と答弁。路線就航の可能性について航空事業者からは「さらなる観光需要の喚起が必要との意見を頂いている」と報告し、県としては奄美群島誘客周遊促進事業において群島全体への誘客や周遊促進に取り組んでいるとした。

同路線への奄美群島振興交付金の適用については、西総括監は「就航に向けて航空会社の動向等を見ながら事業効果や財源の確保を含めて検討する」と述べた。

航空機が離着陸する際に滑走路を超えて走行し停止する「オーバーラン」または航空機が着陸時に滑走路手前に着陸してしまう「アンダーシュート」を起こした場合、航空機の損傷を軽減させるため着陸帯の両端に設けられるのが「滑走路端安全区域(RESA)」。延長にかかる国の基準が見直され、離島空港でも2026年度末までに基準を満たすための整備に着手するよう19年4月に航空法施行規則が改正された。

これを受けた県内離島空港での整備状況について安原総括監が答弁。奄美、徳之島、種子島の3空港については整備に着手し現在工事が進められているが、残る4空港(屋久島、喜界、沖永良部、与論)は26年度末までに整備に着手するとした。

想定されている「台湾有事」などに備え南西諸島の住民を避難させるため、国民保護法の観点から国への離島の港湾整備の要望について長島和広・危機管理防災局長は、国の方針について「自衛隊、海上保安庁等の艦船や航空機が利用できるよう整備(港湾、空港)または既存事業の促進を図ることとしている」と説明した上で、公共インフラ整備は国民保護の実効性を高めることにつながることから具体的な整備方法や運用方法について国に対し、丁寧な情報提供を求めていくとした。