農産物の代替輸送を検討 群島各種協

初日は8会議が行われた奄美群島各種協議会

エコツー全体構想、改定要望も

 奄美群島12市町村の首長らで構成する各種協議会は27日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で始まり、初日は8会議があった。奄美群島農政推進協議会では、悪天候時の農産物の代替輸送手段について検討を始めたことを報告。奄美群島エコツーリズム推進協議会では、現状に対応するため、推進の指針を示す全体構想の改定を求める案も上がった。28日は市町村会など11会議が開かれる。

 【水防災意識社会再構築協議会】(事務局・県大島支庁建設部河川港湾係)奄美大島地域流域治水協議会を併催。同治水協は、国が進める流域治水プロジェクトの計画策定を受けて発足した。プロジェクトは流域全体で行う総合的・多層的な水災害対策への全体像を取りまとめたもので、議事ではプロジェクトの概要や事例について事務局が説明した。

 管内プロジェクトでは、名瀬地区伊津部勝山田川、大和村思勝川などで河道掘削に取り組んだ事業を説明。小中学校の出前事業など地域活動を報告した。

 洪水浸水想定区域図については、年度内完成見込みで、26年までに各地区のハザードマップに反映するよう自治体に要望。流域治水については最新動向が紹介され、「河川法にのっとり追随必要。企業と連携し進めていただきたい」と呼び掛けた。

 【大島地区農業改良普及事業協議会】(会長・伊集院幼大和村長)24年度事業計画など4議案を承認し、役員改選で伊集院幼大和村長を新会長に選任した。

 23年度は、新規就農者励ましの会や女性農業経営士養成研修などの事業を実施し、ハカマロールの嗜好(しこう)性及び成分分析調査などの調査研究活動に取り組んだ。24年度は、実証ほ場でのドローン防除などを新たに掲げ、各種事業を展開する。

 意見交換では、49歳までの国の新規就農支援に対し、50歳以上のU・Iターン者などを対象に地区でモデル的に取り組めないかとの声が首長から上がり、協力が求められた。

 23年度管内の新規就農者は10人。青年農業士1人、女性農業士2人が新たに認定された。

 【奄美群島農政推進協議会】(会長・隈崎悦男喜界町長)23年度事業実績など2議案を承認した。

 23年度は大島地区肉用牛振興大会、キビ1グランプリ、宇検村と連携したソバの栽培実証などに取り組んだ。24年度は、農産物輸送コスト支援、ハウス・平張り施設などの農業施設・機械の整備、肥料・飼料などの価格高騰対策などの事業を計画。11月には奄美市笠利町で群島農業祭の開催も予定している。

 事務局からは、台風などの悪天候時の緊急措置として、マンゴーの代替輸送手段の検討・協議を進めていることが明かされた。試験は奄美―鹿児島間の空路を予定しており、首長からは「各離島で1回でも実証できるよう配慮願いたい」との申し出もあった。

 【奄美群島社会教育振興会総会】(会長・前登志朗和泊町長)24年度総会を開き、23年度事業報告・決算報告や24年度事業計画・予算など4議案を承認。役員の選任については任期中のため、異動などによる変更を確認した。

 2年に1度開催する地区生涯学習推進大会について今年度、第20回として和泊町の和泊中学校体育館で11月16日開催を予定。開催要綱の提案があり、内容を確認した。26年度は与論町での開催を確認した。

 【奄美地域赤土等流出防止対策協議会総会】(会長・松藤啓介大島支庁長) 23年度事業実績及び24年度事業計画、管内市町村の協議会活動状況などを協議し、確認した。24年度も23年度に引き続き、合同パトロールの実施や赤土等流出防止対策学習会の開催を計画。広報啓発として、地元マスコミなどによる広報活動(地元紙への広告掲載を含む)や、既存の広報誌などを活用した啓発を実施するとした。

 【奄美自然体験活動推進協議会】(会長・伊集院幼大和村長)24年度活動計画・収支予算など4議案を承認した。

 23年度は、夏休み子ども自然観察会などのふれあい行事や、やせいのいきもの絵画展などを実施。普及啓発冊子・わきゃあまみ?「奄美群島の外来植物」を制作・配布。同冊子⑪「奄美の樹木の葉っぱ」、同⑭「奄美群島のクジラとイルカ」の増刷が報告された。24年度も同事業を継続するとともに、ニュースレター「奄美の風だより」の発行を予定している。

 【奄美群島自然共生プラン推進本部会議】(会長・安田壮平奄美群島広域事務組合管理者)同自然共生プランに基づいた23年度の県事業について事務局が説明。群島全体で取り組む9施策に対応した21事業を報告した。

 主な事業は▽奄美・屋久島自然体験型交流学習▽未来へつなごう鹿児島の生物多様性推進▽アマミノクロウサギロードキル対策▽循環型モデル支援▽世界自然遺産人材育成―など。今年度は奄美群島持続的観光マスタープランが改定年度を迎えることから、付随する同自然共生プランも改定していくこととした。

 【奄美群島エコツーリズム推進協議会】(会長・安田壮平奄美群島広域事務組合管理者)構成員変更に伴う要綱の改正を承認した。長崎大学総合生産科学域(環境理学系)准教授・深見聡氏らを新たな構成員として招く。

 24年度は、エコツーリズム推進に関わるモニタリング調査、認定・更新講習などを引き続き実施。ガイドの確保・就業機会の創出を目的に初期段階育成研修も行っていく。

 事務局からは、エコツーリズム推進の指針を示す全体構想が制定から7年を迎えることから時代に沿った構想を目指し、改定検討を打診する案が出された。今年度は、改定の是非を含め各島の推進協と協議。次年度以降にまとめる計画だという。

 会員のガイドからは各島の状況について報告があり、登録・認定ガイドが増え続けることで「ガイドの質(実力)にばらつきが目立つ」といった声も上がった。誰でも合格できる認定制度ではなく、「一定のレベルに達した人を認定していく制度に改善すべき」といった意見も出た。

 23年度は新たに15人の認定エコツアーガイドを公認。群島全体の累計は176人になった。