避難指示を受け、高台に避難する住民(3日、瀬戸内町古仁屋)
支援物資を背負って20㌔を徒歩で制覇し、鎌田町長(左)から出迎えられる陸自隊員たち(3日、瀬戸内町古仁屋)
2024年度瀬戸内町総合防災訓練が3日、町内全域であった。消防、警察、自衛隊など約10機関・団体、32の集落住民ら約700人が参加し、災害時の対応手順などを確認した。
訓練は関係機関らと毎年実施しており、昨年は荒天のため訓練を中止した。また、22年1月の「津波警報」で生じた課題を踏まえ、これまで同町の清水グラウンドで行っていた訓練内容を見直した。
午前9時に奄美大島近海で震度6弱の地震が発生。家屋の倒壊や道路決壊が生じた。気象庁から「大津波警報」が発表されたことを想定して実施。同町役場内に各課や県などの関係機関を集めた災害対策本部を設置。防災行政無線やエリアメール(携帯会社が緊急性の高い情報を特定の地域に一斉配信するサービス)を用いて住民に避難を呼び掛け、それぞれ指定された高台に避難。各場所に配置された町役場職員が人数を本部に報告した。
道路が寸断されているため、陸上自衛隊瀬戸内分屯地隊員による物資輸送(徒歩訓練、20㌔)や、フェリーに陸自車両の搭載と陸揚げ、海保の船との横づけ訓練などのほか、奄美アイランドドローンも今回から訓練に加わり、上空からの映像を本部へ直接伝送し、状況を報告。2回に分けて食材や新聞を与路島へ輸送した。
避難訓練に参加した古仁屋在住の男性(57)は「訓練に参加することで家から避難場所までどのくらいの時間がかかるのか?など確認することができた。コロナ禍で人との関わり方も変化した。近所の方や障がいを持った方への避難方法など検討も必要」と話した。
同町総務課の土井一馬防災専門監は「実働と災害対策本部についての二つの訓練ができた。物を使った情報収集の仕方、集落からの情報をいかに得るか、またどのようにして報告するための手段の整備や、本部側も各自の諸業務を把握し、手分けをして自分たちで動く必要がある。意思決定のスピードの速さの重要性と、災害は危機管理係だけで対応できるものではない。町全体で対応すべきということなどを理解できたと思う」などと語った。
同町の鎌田愛人町長は総括で「今回の訓練を通して、情報収集体制の強化と関係機関による連携、各集落の自主防災組織の確立など防災に強いまちづくりにしていきたい」などと語った。