教士六段の称号を得た元さん(6日、奄美市名瀬の大島高校)
全日本空手道連盟(全空連)はこのほど、称号審査会を実施し、今年の2月28日付で県立大島高校の空手道部の外部コーチを務める元博通さん(74)=奄美市名瀬=が称号の一つである「教士」に合格し、「教士六段」の段位を得た。称号所有者は奄美では西決造さん=奄美市名瀬=に続いて2人目の快挙。元さんは「うれしいと同時にこれでやっと一人前に近づいたと思う。周りが一人前と認めてくれるようなレベルに近づいた」と語った。
元さんは大島高の出身。当時は器械体操をしており、空手は大学進学を機に漫画や映画の影響を受けて「強くなりたい」と思い、神奈川大で競技を始めた。在学中に初段(黒帯)を取得し、社会科(世界史)の教員資格も得た。
93年には五段を取得。母校の大島高に赴任した際には世界史を教えながら空手道部で後進の育成にも携わっていたが、2016年に脳出血で倒れて入院を余儀なくされた。立ち上がれない、歩けない状態から自分を奮い立たせて2か月間、リハビリに取り組み、体を動かせるようになるまで回復。受験資格を得て六段の審査会に挑んだ。審査会では筆記試験や指定形と得意形、自由組手2試合を行い、合格者が約20%と「狭き門」ともいわれ、5回目の挑戦で21年5月に合格し、23年7月には全国審判員の形の資格を取得した。
公認称号を得るには年齢や段位、全国審判員(組手・形)、日本スポーツ協会の公認空手道コーチ3以上などの資格要件や指導者、技能識見を備えていることなどの条件がある。称号は上から順に範士、教士、錬士の三つがあり、いずれも所定の申請書を提出し、年1回の審査会にて書類審査で合格者を決定する。
合格の知らせを受けて元さんは「年齢や資格要件もあり、それらをクリアするのも大変だったが、空手は一生のライフワーク。私の人生を支えてきたものであり、生きる力でもあり、大病を乗り越え、自身の健康にもつながっている」と振り返った。
鹿児島県高校体育連盟の空手道競技の監査長や全空連での相談役のほか、大島高で外部コーチとして後進の育成にも携わっている元さんは「座右の銘は『氣』。何事も気持ち次第であること、指導する立場の者が自己研鑽しつつ、子どもたちにいい刺激や力を与えられたら」と語り、「競技力の普及や拡大にもつなげたい。また、今後はマスターズの空手道競技の形部門に出場を目指したい」と意欲を語った。

