「銀座もとじ大島紬」大島の機=はた=が初登場

「銀座から奄美の文化を発信していきたい」と語る泉二社長

阿部さんに手渡す
奄美での検査が済み清田さんから阿部さんに手渡された龍郷柄の白大島

柄合わせする清田さん
たて糸とよこ糸の柄あわせをする銀座の織姫・奄美三世の清田寛子さん

元・里山
奄美から駆けつけた元さんも「いつでも節目には大島紬があった」と語る。友人の里山関と一緒に

泥染体験
泥染めの体験をする参加者たち

ひめまり
ひめまりも素晴らしい大島紬を着用して島唄を披露

銀座で生まれた大島紬の数々
銀座店に飾られている大島紬の数々

銀座に響く筬=おさ=の音

 

「見て、聞いて、触れて心で感じる店舗」

 

龍郷で機織り学んだ奄美三世・清田寛子さんが〝織姫〟に

 

 【東京】中央区銀座の「㈱銀座もとじ」(泉二(もとじ)弘明代表取締役社長)は1日、人と作り手が出会う新しい場所として「銀座もとじ大島紬」(大島紬専門店)をリニューアルオープンした。業界初の試みとして銀座の路面店に大島の機(はた)を構えることを発表、関係者を招いてレセプションパーティーを開いた。

 ふるさとの奄美から織機を移設し「銀座生まれの大島紬」という、画期的な「見て、聞いて、触れて、心で感じる店舗」が誕生した。泉二さんは「銀座から機の音を響かせる夢が、実現した。少しでも街行く人に見てもらって、奄美の伝統文化を知ってもらいたかった」と、感慨深げにあいさつした。

 都会で初の作り手となったのは、宇検村に祖母を持つ横浜出身の清田寛子さん。奄美の龍郷町瀬留で5年間修業した後、縁あって同社に入社。「あこがれていた織り手の方が背中を押してくれました。島でも銀座でも、一本の糸から織っていくのは一緒。大島紬は、皆で支え合いチームによって出来上がる。このチームのアンカーはお客様です」。客と語り合う織り工として、織機と向かう思いを語った。 

 清田さんは、この日に向けて一反の白大島を、この春から織っていた。全長13㍍のうち半分を織り進めた6月半ばの頃だった。彼女の姿と、女性らしさが漂う白龍郷のデザインに感動した埼玉県の阿部綾子さんは、早速、夫・勝延さんに相談。「またとない機会」と大島紬では〝先輩の夫〟は大賛成して購入を即決した。

 「銀座初の大島紬、私自身にとって初めての白大島は感激です」と阿部さんは、目を輝かせていた。この日、奄美での検査が終わったばかりの白大島が阿部さんに手渡される贈呈式も行われた。二人はこの秋、初めて奄美を訪れる予定だ。

 黒糖焼酎や心のこもった料理が用意されたレセプションパーティーには、ユニットのひめまり(住姫乃さん、平田まりなさん)によるシマ唄も披露され、泉二さんが奄美から持ち込んだ泥と車輪梅の染色液での泥染め体験も参加者の多くが体験していた。

 また、泉二さんと交流のある元ちとせさん、大相撲・里山関もゲストで参加。元さんは「大島紬の工場で育ったようなもの。新曲を出すなどの節目には、必ず大島紬はありましたね」と、深い絆を語ってくれた。清田さんが織機に向かい、訪れる人たちと対話しながら、銀座に響く筬(おさ)の音。果たして次に紡ぎ出されるのは、どんな作品になるのだろうか。