前川選手(樟南高・金久中卒)学生野球表彰

「賞に恥じない野球人生を」

 

表彰の盾を受け取る前川選手(右)=鶴丸高校

 【鹿児島】2016年度の日本学生野球表彰に選ばれた樟南高3年の前川大成選手(金久中卒)の表彰式が24日、鹿児島市の鶴丸高校であった。

 同賞は日本学生野球協会に加盟する26大学連盟、47都道府県高校野球連盟に所属し、今年度顕著な活躍をした選手をそれぞれの連盟が推薦する。鹿児島から選ばれた前川選手は主将、捕手としてチームをけん引し昨夏、3年ぶりとなる甲子園出場に貢献しただけでなく、学業面や学校生活でもリーダーシップを発揮している点が評価された。

 授賞式では、県高野連の豊島真臣会長から記念の盾が贈られた。前川選手は「この賞がいただけたのも樟南を支えてくださった皆さんのおかげ。この賞に恥じない野球人生を今後も送っていく」とお礼を述べた。

 中3だった13年夏の甲子園に出た樟南に憧れた。4つ上の兄・健悟さんも樟南で「兄がいけなかった甲子園に、自分が樟南で行く」と誓って奄美からの進学を決めた。3年間、寮生活で、3年生25人をはじめ個性の強い仲間たちと、時にぶつかることもあったが「この仲間たちが自分を成長させてくれた」と感謝する。昨夏の甲子園をかけた決勝では宿命のライバル・鹿児島実と延長十五回、引き分け再試合の死闘を制して悲願を叶えたが「再試合の五回表無死満塁のピンチをしのいだシーンが一番印象深い」と振り返った。

 「野球だけでなく、すべての面で彼がリーダーシップを発揮してくれた」と山之口和也監督。昨夏の決勝、甲子園も印象深い出来事だが、それ以上に「秋、春とあと一歩のところで力を出し切れずにいたのを克服した」ことをたたえていた。卒業後、前川選手は駒沢大で野球を続ける。将来のプロも視野に入れつつ「目の前のことを一つずつクリアして、周りから応援される選手になりたい」と抱負を語っていた。
(政純一郎)