マングース防除事業

ソーセージベイトを設置する大和村嶺山区域の落石防止ネット=環境省那覇自然環境事務所提供=

名音を重点区域に移行
大和村嶺山で化学的試験
環境省

 2016年度奄美大島フイリマングース防除事業検討会がこのほど行われ、今年度(11月末まで)の捕獲状況などを報告。17年度からは新たに大和村名音を重点区域に移行するほか、これまでわなや探索犬などでの捕獲が困難だった同村嶺山で化学的防除の試験実施を行うとしている。

 16年度の防除作業は第2期奄美大島におけるマングース防除実施計画の4年度目となっており、秋名・屋入、本茶峠、戸口・鳩浜、金作原の4区域をモニタリング、和瀬、思勝・三太郎の2区域を重点区域に設定。残る名音、湯湾岳、篠川、宇検半島、山間、古仁屋は低密度区域として防除作業を行った。11月末日までのわなによる捕獲頭数は合計16頭で、内訳はカゴわな2頭、筒わな10頭、延長筒わな4頭。うち7頭はピンポイント捕獲作業によって捕獲されたものとなっており、捕獲の効率を示すCPUE(捕獲数/1000わな日)は0・009頭と前年度を上回った。

 生態探索犬と糞探索犬による防除では、金作原エリアで1頭のマングースを捕獲。また、糞によって15件、毛によって2件、その他マングースと推定される反応7件が確認された。その一方、夏頃にハブ咬傷事故が発生し、5月に探索犬1頭が胸を咬まれて死亡。8月にもハブまたはヒメハブに咬まれた事案が発生した。これを受け、探索犬用防護ベストの着用を進めるとしている。

 17年度からは、これまで検討していた化学的防除の試験実施をスタート。16年度捕獲総数16頭のうち、8頭が見つかった大和村嶺山区域は、落石防止ネットなどでトラップが仕掛けづらく、探索犬が入って捕獲することも困難な地域。捕獲した個体には幼獣の姿もあったことから「繁殖の温床になっているのでは」と指摘されていた。

 化学的防除は薬剤を混ぜたエサ(ソーセージベイト)を配置するもので、市販の殺鼠剤の主成分であるダイファシノンを鶏ミンチ肉に混ぜ、登録農薬で使用する濃度と同じ0・005%を含有する50㌘のソーセージ形状に成形したものを使用。1カ所につき3本を計3回にわたって27カ所に設置する(農薬取締法に基づく基準値内)。薬剤は複数回摂取することで効果が現れるといい、鳥類への毒性も一般的に低いことなどから、採食しても死に至ることはほぼないという。一方で、カラス類などが持ち去る可能性などもあることから、モニタリングにより状況を判断し、必要に応じてカバーの設置なども検討する。

 実施に向け14年度から各関係団体(周辺地域や同村役場、自然保護団体など)への説明や、沖縄での半野外実験などを行ってきたといい、今回の実施前にも事前に薬品を混ぜないエサを使ったモニタリング調査を行う予定。薬剤を使った外来種防除は、国内では小笠原諸島で固有種保護のためのクマネズミ防除で実施しており、マングースでの実施は初めてという。

 マングース以外の野生動物や希少種になるべく影響のないよう考慮(エサの種類や周辺の固有種の生息状況など)しており、実施時期は猟期・猟期直前を避けて設定。また、期間中は作業区域内にペット(イヌ・ネコ)が近づかないよう呼びかけ、万が一に備え、島内の動物病院へ緊急の対応について協力を要請しているという。

 環境省奄美野生生物保護センターの岩本千鶴自然保護官は「マングースはわずか30頭がここまで大きく広がるほど、生態系を脅かす種。嶺山は繁殖の温床となっていると考えられる場所なので、根絶しなければならない。実施の継続についても、今回の結果を踏まえながら決める予定」と話した。